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蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

さようなら。またいつか。

突然ですがこのブログを本日にて終了させていただきます。 長らくのご愛読まことに有難うございました。 なお引き続きお読みくださるかたは、下記までお願いいたします。 佐々木眞拝 https://www.facebook.com/makoto.sasaki.56679

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第32回

西暦2016年如月蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 226 以前東京新聞の歌壇の老選者が、現代口語で応募した人の作品を勝手に文語に直して特選とし、「どうです、これで格調高い短歌になったでしょう」なる評語を添えていたが、こうい…

夢は第2の人生である 第31回

西暦2015年水無月蝶人酔生夢死幾百夜 私が勤務している会社は、地道に米を販売する地味な会社なのに、社長がとつぜんとち狂って若者向けの2種類の新製品を発売し、それぞれにマスコット・キャラクターをくっつけて売り込むのだと張り切っている。6/1 し…

オフィーリア~これでも詩かよ第169番

ある晴れた日に 第364回 今朝、死体を見た。 滑川の橋の下の魚たちが大好きな窪みの上で それは、冷たい水に浸かっていた。 昨日白鷺の夫婦が、長い首をつんつん動かしながら ぎくしゃく歩いていた小さな川に 蒼ざめたマネキンのように、ぽっかり浮かんで…

西暦2016年如月蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に 第363回 市の花に野菊を選ぶ神奈川の大和の人はうるわしきかな あの病院はお前の肩を「かしわ」のように刻みやがってと祖父言えり 二度までも自転車を盗まれし少年の暗き心を思いみるべし 真黒な写真を指差してほれここにオオウナギが写っ…

マーク・ウェブ監督の「(500日)のサマー」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.988 いかにも今風のボーイズ・ミート・ガールズ映画。知り合って別れるまでの500日間のさまざまなエピソードを時系列を無視してアトランダムに描くのが新機軸であるが、だからというて映画自体がさほど面白いわけで…

アイヴァン・バッサー監督の「クリエイター」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.987 ピーター・オートゥールとマリエル・ヘミングウェイが共演する1985年製作のマッド&ロマンチックサイエンチストものずら。 マリエルを見ていると、あの有名な作家の孫娘であるこの人は、果たして美人なのかブ…

増村保造監督の「巨人と玩具」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.986 開高健の原作を白坂依志夫が脚色して増村保造がメガフォンをとった社会派ドラマ。玩具メーカーの宣伝担当者が資本主義の販売至上主義の罠の虜になって悪戦苦闘する悲喜劇を描いているのだが、私自身もそういう体験…

石原深予著「尾崎翠の詩と病理」を読んで

照る日曇る日第847回 1896年に鳥取に生まれ、1971年に亡くなった“伝説の”閨秀作家、尾崎翠の本格的な研究書を、不思議な縁あって手に取ることができました。 まずは「第七官界彷徨」で使われている「第七官」という言葉の歴史的な用例の発掘とそ…

松本佳奈監督の「マザーウォーター」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.985 荻上直子の「かもめ食堂」「めがね」「レンタネコ」などとほぼ同じ俳優やスタッフを使って、聞いたこともない別の監督を起用して撮られた、「似て非」なる詰らない映画なりい。 まわりを固めればでくのぼうが監督…

如月の歌

シェークスピア風ソネットの試み~これでも詩かよ第168番 ある晴れた日に 第362回 現代の詩人が作る現代詩のほとんどが、いわゆる「自由詩」というやつだ。 しかしおいらには、その自由詩の詩形がいかにも無秩序かつ胡乱なものに思われるので、 今更な…

ハワード・ホークス監督の「赤い河」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.984 苦労して育てた牛の価格が暴落したのでミズーリへ行くか、それとも鉄道が来たというカンザスへ行くかを巡って、親子のような間柄のジョン・ウェインとモンゴメリー・クリフトが宿命的な対決をするのだが、なかをと…

中公新社偽決定版「谷崎潤一郎全集第6巻」を読んで

照る日曇る日第846回 本巻では1918年から19年にかけて出版された作品を集めている。 内容は、真情あふるる名短編「母を恋ふる記」を含む「小さな王国」、小説と戯曲の融合を図った意欲作「呪われた戯曲」、臆面もなく足フェチを告白した「富美子の…

ドン・シーゲル監督の「グランド・キャニオンの対決」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.983 アメリカ随一の絶景の中で西部劇を見せるのかと思っていたら、あにはらかんやいきなり自動車が出てくるサスペンス現代劇だった。 されど正義の保安官は颯爽と登場するし、インディアン、もといアメリカ先住民は出…

エドワード・ズウィック監督の「レジェンド・オブ・フォール」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.982 舞台は第1次大戦前後をアメリカのモンタナ州の牧場。元大佐のアンソニー・ホプキンスに3人の息子がいてこれにジュリア・オーモンドという女がからんで運命的な悲劇を形作る。 文明に馴染まずに生きる次男の野生…

岩波文庫版『石垣りん詩集』を読んで~これでも詩かよ第167番

ある晴れた日に第361回&照る日曇る日第845回 詩集を贈呈された者は、けっして古本屋に売ってはならない。 贈呈した詩人が、回り回って手にすることがあるからだ。 のみならず、それが詩に書かれて、一生物笑いの種にされることもあるからだ。 岩波文…

スパイク・リー監督の「インサイド・マン」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.982 処女作の「ジョーズ・バーバーズ・ショップ」でファンになった監督だが、「ドウ・ザ・ライトシング」で覚えた違和が「マルコムⅩ」で増殖し、そういうゆわゆる反体制映画ばっかり作るのかと思っていたら、2006…

五味文彦著シリーズ日本中世史①「中世社会のはじまり」を読んで

照る日曇る日第844回 現代日本の核を作った中世の歴史を3分冊で見直そうとする試みの第1回です。 中世史を100年ごとにぶった切り、1)1068年の御三条天皇即位(院政時代)、2)1167年の平清盛太政大臣就任(武家政権)、3)1268年の蒙古…

河出版「日本文学全集03」を読んで

照る日曇る日第843回 「竹取物語」の現代語訳を森見美山彦、「伊勢物語」を川上弘美、「堤中納言物語」を中島京子、「土左日記」を堀江敏幸、「更級日記」を江國香織がそれぞれ担当している。 森見の「竹取物語」と江國の「更級日記」は比較的オーソドッ…

Les Petits Riens ~三十五年もひと昔

蝶人五風十雨録第9回「十二月三十日」の巻―そんな私のここだけの話 op.224 1981年12月30日 水曜 妻は扁桃腺が腫れているがおせちづくりに忙しい。長男次男は少し風邪気味なり。 1982年12月30日 木曜 妻、風邪で倒れる。 1983年12月…

Les Petits Riens ~三十六年もひと昔

蝶人五風十雨録第10回「一月三十日」の巻―そんな私のここだけの話 op.225 1981年1月30日 金曜 夕方サンフランシスコ発JAL001便にて成田着。重い荷物をポーターに運ばせタクシーで鎌倉まで。やれやれと一安心。都合半月の海外旅行なりき。 1982…

朝の歌

音楽千夜一夜 第357回&バガテル―そんな私のここだけの話 op.223 「朝の歌」といえば、まずはいまNHKの朝ドラでやっている「あさが来た」の主題歌でしょうか。 AKB48が歌う「365日の紙飛行機」は、副田高行さんのお洒落でシックなタイトルデザ…

タヴィアーニ兄弟の映画2本をみる

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.980,981 ○パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督の「父/パードレ・パドローネ」をみて 貧しくて頑固者の父親と息子の相克を描く独特の語り口をもったイタリア映画である。 モザールのフルート協奏曲の第2楽章が鳴っ…

お正月の歌~これでも詩かよ第166番

ある晴れた日に 第360回 西暦二〇一六年一月二日 鎌倉の在に親戚十七名が勢ぞろい そのうち五人が小さな子供 うららかな光のどけきお庭の中で 臼と杵とでぺったんぺったんお餅付き 大人も子供もお餅付き つきたてお餅をちょんぎって あんころ餅ときな粉が…

MEMORIES盤シューリヒト指揮の「モーツアルト交響曲・協奏曲集」を聴いて

音楽千夜一夜 第356回 カール・シューリヒトがウイーンフィル、シュツットゥガルト放響、ドレスデンフィル、スイスイタリア語放響を振ったモザールの交響曲とピアノ協奏曲の5枚組です。 その特徴はすべてがライヴで収録されていることで、多くの指揮者と…

ブライアン・デ・パルマ監督の「ファントム・オブ・パラダイス」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.979 1974年アメリカ製作の素晴らしいカルトムービーずら。 確かに「オペラの怪人」などの影響を受けた“突然ミュージカル映画”ではあるが、変態的監督のメガフォンの指揮下、怪優による相次ぐ怪演が、冒頭から末尾…

「谷崎潤一郎全集第4巻」を読んで

照る日曇る日第842回 この巻では「鬼の面」「人魚の嘆き」「異端者の悲しみ」などちょうど夏目漱石が「明暗」を書きながら斃れた時期の作品を収めていますが、当たり前のことながら、「即天去私」などと言われた最晩年のそれと比べてなんとその作風が違う…

小川洋子著「琥珀のまたたき」を読んで

照る日曇る日第841回 恐ろしい悪夢と珠玉のファンタジーが表裏一体になった長い散文詩のような、不気味でリアルなグリムの童話のような、これまで誰も夢見ることがなかった比類なく美しい夢のような、実際に母親と3人のきょうだいの身の上にどこかの国で…

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第31回

西暦2016年睦月蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op.222 時の経つのも忘れて往年の名画を鑑賞していたら突然遠い地方の震度3の地震速報が一度といわず二度も三度も流され、もはや映画どころの騒ぎではなくなってリモコンでスイッチを切…

アンドリュー・バーグマン監督の「あなたに降る夢」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.978 底ぬけのお人よし警官のニコラス・ケイジが400万ドルの宝くじに当たり、ひょんなことからその半額を「約束通り」贈呈したウエイトレスのブリジット・フォンダと結ばれる愛と奇跡の夢のような実話です。 しかし…

なにゆえに第23回~西暦2016年睦月蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に 第359回 なにゆえに急にエアコンが停まってしまうしばらくは自分を暖めているらし なにゆえに子供はあんなに元気に走って騒ぐまだ誰も挫折を知らない なにゆえに老人はとぼとぼ歩いてる心ゆくまで悔ゆるため なにゆえに「最終的に不可逆的…

西暦2016年睦月蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に 第358回 隣の庭にたわわに鳴れる柿ことごとく鳥たちの御馳走となる 耕君から「お父さん怒ったり注意したりしないでね」と云われてしまった大晦日 ひとつ家に四人が眠るお正月 正月の眠りを醒ます核実験たった一発で夜も眠れず 短歌雑誌で…

ドナルド・キーン著作集第13巻「明治天皇〔中〕」を読んで

照る日曇る日第840回 明治8年の「江華島事件と東奥巡幸」から明治28年の日清戦争の勝利までを、「明治天皇紀」をベースにしながら、内外の様々な文献を自在に引用しつつ、明治という時代の政治経済社会文明人間模様について極力冷静客観的な音吐による…

国立劇場で「通し狂言・小春穏沖津白波」千穐楽をみて

茫洋物見遊山記第196回 河竹黙阿弥生誕200年を記念して半蔵門の国立劇場で正月の3日からうたれていた公演も今日が最後の千穐楽です。 黙阿弥の「幻の名作」の2002年以来の再演でしたが、大詰第2場の「鎌倉佐助稲荷鳥居前」の小狐礼三の大立ち回…

ジョエル・シュマッカー「セント・エルモス・ファイヤー」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.977 大学を卒業した7人の男女が、社会人になっても愛したり憎んだり、落ちこぼれのロブ・ロウを助けてやったりして青春を懐かしみながら延長させようと躍起になる「あの頃君は若かった」映画なりい。 彼らは映画の中…

マイケル・マン監督の「ヒート」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.976 通常の犯罪映画では悪人の家庭の事情なんかろくすっぽ描かないけれど、これは違う。正義の味方アル・パチーノと同じウエイトで凶悪ギャング、ロバート・デ・ニーロの恋人とのからみを説明しているから、対決の構図…

フレッド・ジンネマン監督の「わが命つきるとも」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.975 1966年の英国映画でヘンリー8世(ロバート・ショウ)に斬首されたトーマス・モアが主人公ずら。 「わが命つきるとも」はいい邦題であるとは思うが「わが命尽きるとも」と漢字にしなければ意味が通じないだろ…

ジョン・アヴネット監督の「ボーダー」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.974 原題は「正義の殺人者」。NY市の警官コンビ、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの御大同士が「正義の殺人者」となって諸悪の根源を手ずから退治するという話。 いわば公権力を利用した私権力の乱用であるが…

夢は第2の人生である 第30回 

西暦2015年皐月蝶人酔生夢死幾百夜 私は親分に会って杯を返すと、その足で丘を登って、宿敵の組の親分をドスでぶすりと殺った。5/1 いつもと同じように、ユニクロのパンツ一枚で会社に行くと、先輩も同期も後輩も、社員の全員が見ないふりをして、私から…

林望の「謹訳平家物語二」を読んで

照る日曇る日第839回 それにしても「平家にあらずんば人にあらず」とまで称された清盛専制独裁政治が、なぜあれほどガタガタと崩壊してしまったのだろうか? 直接の要因としては、継母池禅尼の命乞いに応じて清盛が、頼朝を生かしてしまったことだろうが…

パスカル・プリッソン監督の「世界の果ての通学路」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.972 ケニア、モロッコ、アルゼンチン、インドなど世界の辺境地帯に暮らす子供たちが毎日何時間もかけてものすごい苦労をしながら通学するさまをレポートする、迫真のドクメンタリー映画ずら。 ケニアのサバンナをぞの…

アンソニー・マン監督の「テレマークの要塞」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.973 目前に迫ったナチスドイツの原爆装置を破壊しようとするカーク・ダグラスやノルウエイーのパリチザンたちのヒロイックな活躍を描く。 原爆装置を載せたフェリーには当然テレマークの市民も大勢乗っているのだが、…

スピルバーグ監督の「ジェラシック・パーク」3部作をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.969.970,971 ○スピルバーグ監督の「ジェラシック・パーク」をみて 琥珀の中に潜む恐竜の血を吸った蚊を素材にして元の恐竜を再現できるのだろうか? 密かにスタップ細胞を製造していた小保方さんなら出来るかもしれな…

村上春樹著「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読んで

照る日曇る日第838回 ボストン、アイスランド、2か所のポートランド、ミコノス島、。NY、フィンランド、ルアンプラバン、トスカナ、熊本などを巡るムラカミ選手。 小説と違ってかなりリラックスして書かれた世界あちこち旅行の感想文集ずら。 フィンラ…

リドリー・スコット監督の「ブラック・レイン」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.968 主演のNYの刑事マイケル・ダグラスに高倉健と松田優作、若山富三郎などがからむ日米競演ヤクザ映画であるが、リドリー・スコットの手にかかるとお馴染みの大阪や横浜などのロケ先がどこかブレード・ランナー風の…

ゼイディー・スミス著「美について」を読んで

照る日曇る日第837回 正月早々、中身の濃い小説を堪能しました。ジャマイカ人の母とイギリスの人の父を持つ1975年生まれの美貌のハイブリッド作家が「ハワーズ・エンド」を顕彰してあらわした本格小説です。 ボストン近郊の大学町を舞台に、レンブラ…

忘年会~これでも詩かよ第166番

ある晴れた日に 第357回 詩人、詩人、詩人 詩人だって忘年会をひらく。 さとう三千魚さんの「浜風文庫」の忘年会だ。 詩人、詩人、詩人 夜の神田の「葡萄舎」で 詩人だけの忘年会さ。 ちょっと早く来すぎたので、駅から歩いて鎌倉橋へ。 1944年11月…

マーク・ローレンス監督の「ラブソングができるまで」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.967 80年代に一世風靡した地方ドサ回りのロートル・ミジュシャンが才能ある若い作詞家に助けられてラストチャンスをものにして一発逆転ヒットチャートにカムバックし新しい恋をゲットするというウエルメイド・コメデ…

メモリーズ盤のシャルル・ミュンシュ指揮ボストン響ライブを聴いて

音楽千夜一夜 第355回 駄演凡演も多いのですが、あたしゃあ昔から熱血漢ミンシュの乾坤一擲の炸裂棒が大好きで、特に相性が良かった故国のフランス国立管弦楽団とのベルリオーズやドビュッシーなどのフランス音楽を好んで聴いてきました。 この2枚組CD…

トニー・ギルロイ監督の「フィクサー」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.965 NYの弁護士事務所のもみ消し屋、ジョージ・クルーニーが良心の痛みに耐えかねて事務所や悪徳企業を裏切り最後に悪人ばらに一矢を報いる話だが、なんというてもジョージ・クルーニーが絵になるずら。 陰鬱な物語…