蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2015-12-12から1日間の記事一覧

河出版日本文学全集「石牟礼道子」を読んで 照る日曇る日第830回 「苦界浄土」3部作には驚嘆させられたが、ここに収録されている「椿の海の記」、「水はみどろの宮」「西南役伝説抄」にはもっと驚かされた。 石牟礼道子という人はチッソと戦う不屈の闘士…

中公偽決定版「谷崎潤一郎全集第11巻」を読んで

照る日曇る日第831回 大正14年に新潮社から出版された「神と人との間」と、同年に改造社から刊行された「痴人の愛」などを収めている。 前者は、谷崎を思わせる「悪魔主義」の作家と元医師の主人公が、美女を巡って猛烈な争奪戦を展開し、作家を毒殺し…