蝶人戯画録

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商標と「鎌倉エキスト」


広告戯評第16回&鎌倉ちょっと不思議な物語第251回&バガテルop147

横須賀の歯医者さんへ行く途中、鎌倉駅のホームで駅に付属している小さな商業施設の看板が目に入りました。鎌倉EKIST(エキスト)という名前ですが、これは悪いネーミングではありません。

恐らくは「絶妙な」という意味の英語exquisiteの転用をはかったのでしょうが、駅とストップ、出口のexit,やeqip(必要な物を揃える)、equitable(公正公平な)という英語との連想もしぜんに湧いてきますし、「なになにイズト」というようなその道の専門家というニュアンスもそこはかとなく匂わせている。

さらに深読みすれば存在という意味の英語existがこの軽快な商標の基底部に鎮座ましまして、観光地の中心部に所在する商業施設の存在意義を自問自答しているような気がしてくる。簡明で覚えやすくてなおかつ深い含蓄に富む名称といえるでしょう。

余談ながらこの「鎌倉エキスト」の入口が鎌倉観光総合案内所になっています。当地に観光に訪れた人は必ずここに立ち寄って毎月発行されている「かまくら四季のみどころ」という無料の案内書(A3二つ折り)をもらいましょう。見開きが簡にして要を得た地図になっていて、これさえあれば他の観光地図やガイドブックなんて要りませんよ。



よしだでらではなくてきちでんじ いってみたいな吉田寺 蝶人