蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ある晴れた日に 第101回


西暦2011年霜月 蝶人狂歌三昧



ゆく秋や横須賀線はみな昼寝

夕焼けやカバヤキャラメルなめたいな

鎌倉では生き残れなかったねラルフローレン

しょうぐあいしゃのむすこをもつきみがしょうぐあいしゃになってしょうぐあいしゃのははをかいぐおしているのはしょうぐあないことなのか

春は桜夏は朝顔秋は菊冬は水仙咲く陋居

表には野尻裏には大佛と書きたり大佛次郎旧邸

嫌な事は全部忘れてコンチエルト・ケルンの「フィガロの結婚」を聴いていました

音楽について語って音楽が聞こえてこない論者の至らなさ

見境なくアンコールを催促する卑しい聴衆どもよ

逝くときは私がいや俺が息子を道連れにと争う夫婦あり

ずっと鎌倉なら自殺はしなかったかいややっぱり死んだだろうな芥川

秋風に松寥々と聳えけり芥川が「鼻」書きし家の跡

江の電や虚子邸で咲くホトトギス

うるんだ羊の瞳だったよ国際免許の次男の写真

ウンコとオシッコはしようと思えば同時に出来るものなり

暖かな布団に包まれてぐっすり眠るほどの仕合わせはない

自転車に乗っていると死んだ父になって走っていた

日帝を制圧したりアワダチソウ

嫌嫌嫌嫌嫌嫌ああと叫んでいました

コラボとは対独協力者のことであるコラボコラボと連呼するな馬鹿者

今日こそは失いし夢を取り返す日愛する魂よ美しく装え

密教とかけてアッコちゃんと解くその心は秘密と魔法がいっぱい

汝等あらゆる宗教原理主義を廃しあたらしき自由の道を歩め

皇室の毒を身に受け御用邸に逃走せしや哀れ雅子妃

雅子妃よ愛児を連れて実家へ戻れ諸悪の根源は天皇制にあり

せっかく料理をお勉強したいと思っているのに細かいことをグチャグチャいわないでよ

年の瀬や我に仕事を与え給え妻と子供を喰わせるために

いつか来る枯れ木に桜の咲く朝が

羊雲綿雲鰯雲薄雲朧雲入道雲雲こそは天からの贈り物

よしだでらではなくてきちでんじいってみたいな吉田寺



良いことはなにひとつないけれどほらこの歌がひとつできました 蝶人