蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

スピルバーグ監督の「レイダース 失われた聖櫃」を観て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.181

1981年に製作されたこの監督の得意な波乱万丈一大冒険絵巻でやす。

ハリソン・フォード扮するいかがわしい考古学学者インディ・ジョーンズがナチの陰謀と戦いながら世界中を股に掛けて大活躍致しやす。

陸海空を駆け抜ける間にご都合主義のつじつま合わせがあったり死んだはずのヒロインが生きていたりするデタラメもまあ御愛嬌。まずは大人も子供も大口開いて見物できる無害衛生の動く動画。されど何百匹もの実物の毒蛇を登場させているが、たった1匹の蛇で観客を恐怖させたヒッチコックの爪の垢でも呑ませたいものである。

しかし振り返ってみればこのインディ・ジョーンズ、最初から最後までお宝をライバルに奪われっぱなしだったなあ。特にラストで聖櫃の怒りに触れずヒロインと2人だけ命が助かったのはどうしてだろう。聖櫃はナチと非ナチを見分ける叡智を持っていたから?

こんな下らない娯楽映画の大ヒットが名作「ブレードランナー」の興行成績を不振に終わらせたという話があるが、それがもし本当なら残念なことだ。


一機89億のF35を買わなければいろいろ買えるがな 蝶人