蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

今村昌平監督の「豚と軍艦」を見て

kawaiimuku2012-12-12



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.363

この映画でいちばん驚いたのは、生命力あふれる長門裕之の演技でもなく映画初出演の吉村実子の新鮮な肉体でもなく、ましてやどぶ板通り狭しと荒れ狂う豚共の大暴走でもなく、胃がんで余命三日と通告された丹波哲郎の親分が横須賀線に飛び込もうとしてできずに見上げたその視線の先に堂々と掲示されている日産生命の「つかもう明るく豊かな暮らし」の巨大看板であった。

ちなみにこの生命保険会社はこの映画の協賛スポンサーになっているのである。
ロケ地の横須賀狭しと暴れ回る今村の自由奔放な演出ぶりにおしみなき拍手を!

鎌倉ざーます夫人は「紀ノ屋」ビンボー人のおいらは「鎌万」に行く 蝶人