蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

「基礎から学べる広告の総合講座2013」を読んで

 

照る日曇る日第566回&広告戯評18

 

日経広告研究所では、毎年夏に超高価な参加料で広告宣伝にかんする連続集中講座を行っているのだが、それを年末に簡にして要を得た安価な1冊の報告書にまとめてくれる。

 

講師は毎年変わるが企業、広告会社、クリエーター、学者など現役の最前線で活躍するメンバーであり、内容的には総論からマーケティング、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどの各論まで、じつにわかりやすく現代の広告宣伝販促の実態と問題点が解説されているので、これさえ年に一度目を通しておけば時流に遅れることなくこの資本主義の最先端で咲かせている奇妙な仇花の色や香りについて習得しておくことができるのである。

 

どこを読んでも参考になるが、最新の2012年版では元サントリーの宣伝部員で独立してからはプランナーやコピーライターをやっている一倉宏氏の「ヘリテージとクリエーティヴ」という昔ながらのネタが面白かった。

 

 この人は昔は「きれいなおねえさんは好きですか?」や「うまいんだな、これがっ」などの名コピーでならし、いまは「家に帰れば積水ハウス」という良く出来たコンセプトとコピーを作っているが、70年代、80年代に大活躍した音楽プロデューサー大森昭男氏の業績について触れているのはさすがだと思った。

 

 

髭摺ればうっとり目を瞑る長男よ父に出来るのはこれくらいなり 蝶人

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