蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

イザベル・コイシェ監督の「死ぬまでにしたい10のこと」を見て

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.518

 

とりあえず善い旦那に出会って可愛い2児に恵まれたまだうらわかい23歳の女性が、突然がんで余命2,3カ月と宣告され、さあどうするというところから始まる哀切極り無き物語。

 

死ぬまでに刑務所に居る父親に会いに行くとか、娘たちが18歳になるまで毎年の誕生日の言葉を録音しておくとか、亭主以外の男と情事を体験するとか、その亭主に新しい妻君を用意してやるとか、全部で10のテーマを設定して次々に実行していくという話なのだが、愛する人々のために残された時間をフルに使って可能なすべてを実行する主人公のその冷徹なまでの意思と勇気には感嘆の他は無い。こんなことは、私には絶対にできない。

 

原題は「My Life Without Me」だが、このままの方がはるかに良い。

 

「平成」を消して「西暦」に直す人あり恰好よしと思う 蝶人