蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ジェームズ・アイボリー監督の「ローズランド」を見て

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.521

 

良い題名だなあと思って見物し始めたらNYのダンスホールの名前で、ここに集う人生に疲れた男女を主人公にした3篇からなるいわゆるグランドホテル形式によるオムニバス映画の佳作だった。

 

1977年度の製作のアメリカ映画で、ここでは後年英国で有名になるアイボリーがとても当の本人とも思えぬ地味に徹した演出に徹している。

 

2作目では若き日のクリストファー・ウオーケンが色男になってジェラルディン・チャップリンをはじめとする3人の女性と絡むのだが、この頃のウオーケンてかなりのイケメン振りを発揮していたんだなあ。

 

 

いちばん心に残るのはダンスの下手な恋人を亡くした老婦人が在りし日の思い出を振り返る「ピーボディ」という1篇で、愛する人のいない晩年の孤独が見る者にも寒々と押し寄せてくる。