蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2013年文月蝶人花鳥風月狂歌三昧

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ある晴れた日に第144回

 

 

 

「薔薇は薔薇であるは薔薇なり」とガートルードスタイン喝破せり

 

布団干し前後左右にひっくり返しその合間に青空を見る

 

モデルの道端ジェシカより元体操の池田敬子選手が好きだ

 

またひとりパパゲーノ見つけたり広大なるロシアの森に

 

「キャワイイ」は思考停止の悪魔の言葉君を蕩かし骨抜きにする

 

鎌倉の平屋の居間に独りいて朝から晩まで本などを読む

 

わが書きしメールを消さずその上に返信する人の無精を憎む

 

震災で南に逃げた人々の気持ちは分かるが好きにはなれない

 

「朝毎読日経」といわれしはいつの日かいまコンビニに毎日はない

 

芸術家は霞を食べるしかないのだがその霞がどこにもないと次男嘯く

 

ホーホケキョだんだんうまくなってゆく鶯いったい誰が教えているのか

 

南西諸島特産のオオゴマダラがなんで鎌倉の空を飛んでるんだうれしいようなヤバイような妙な気持ち 

 

私語止めぬ学生たちを怒鳴りつけるさりながらそは私語ゆえの怒りなりしか

 

 ああいくら考えても思い出せぬポールニューマンが私立探偵を演じたあの映画

 

滑川で2匹のアオダイショウが泳いでいた2013年7月4日を蛇の日となす

 

おいらはドラマー やくざなドラマー おいらが怒れば虎馬トラウマ呼ぶぜ

 

「こんにちは」坂道行き交う人々がみな挨拶するという尾道行きたし

 

梅雨の晴れ間に布団干し前後左右ひっくり返しその合間に青空を見るそんな一日

 

ザアメンの匂いとどこが異なるか言葉には出来ず栗の木過ぎる

 

別るるは少し死ぬることと覚えしがこの身を刻む痛みなりけり

 

小泉邸の屋根に群がるカラスども人類滅亡の陰謀巡らす

 

ありとある墓に番号が振られたる霊園の道空に伸びたり

 

大いなる山を潰して聳え立つすべての墓に夕日差したり

 

耕君がおだやかな1日を過ごしてくれるただそれだけが我が家の願い

 

さて問題です。我が家で次に死ぬのは誰でしょう?

 

平成を消して西暦に直す人あり恰好よしと思う

 

今日も元気だニッポンチャチャチャ日本全国明るいナショナル

 

天皇を元首にしたい政党に投票するとはあんたも莫迦ねえ

 

憲法改正すれば日本及び日本人が突如生まれ変わという誇大妄想

 

侵略をしたことがないと言い張るならば今度おめえがそういう目に遭えばよーく分かるだろうぜ

 

糞袋Aと糞袋Bがお互いに臭臭申すクソクソクソ

 

景気より大事なことがあるはずだけどとりあえず全部忘れて安倍チャン万歳

 

父の日に息子が呉れし赤パンツ

 

麺麭のため働き続けたり六月尽

 

青梅雨や自同律は不快なり

 

じぇじぇと呟きながら今朝の夏

 

夏山を裾をからげてすたすた坊主

 

千年の愉楽閲してリラの花

 

蓮咲くや世界でいちばん弱き国

 

アンジェリーナ・ジョリーの乳房の如きメロンかな

 

小暑なれど大暑と並ぶ暑さかな

 

初蝉や父よ母よと鳴くなるか

 

向日葵やこの国は何処へゆくならむ

 

 

誰ひとり赤信号を無視しないここに見えざる国家の君臨がある 蝶人