蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第7回  

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西暦2014年睦月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.179

 

 

今度のNHKの会長のアホ莫迦発言には驚いた。政府が右に行きすぎたら、急いで左に走ってバランスをとるのが中立で公正な「皆様のNHK」の仕事だろう。世論調査の無作為抽出と同じ手法で最初にひっかかった人物の方が、おそらく彼よりましだと断言できる。1/27

 

教科書に領土を明記するそうだ。ロシアが北方領土を不法占拠しているのは明白だが、尖閣竹島の帰属については学者でも意見が分かれているし、時期尚早だ。私も少し調べてみたが、完全に日本領とは言い切れない。

 

もしも都庁の隣に原発があって、そいつが今度の大震災で大爆発したら、景気と雇用が命より大事な都民たちも、ようやく「やっぱり原発即ゼロは正しかった」などと喚きたてるのだろう。1/28

 

安倍蚤糞がどうなろうが、このまま自称右翼の軍国主義者の舵取りに任せていると、私たちの意思や願望とはまったく無関係に、突然中国と戦端を開くという事態が起こってしまうということだ。1/27

 

むかしは金の切れ目が縁の切れ目だったが、いまは右か左かが縁の切れ目。政治的見解の相違は人世観の相違よりも谷間が深い。百年の恋も政治でお別れ。昨日までの恋人は今日の敵となり、憎悪と殺意の対象となる。1/27

 

クラウディオ・アバド伊都ボローニャに死す。80歳。もっともっと長生きしてほしい名指揮者だった。晩年のルツェルン音楽祭における音楽を楽しみ、これと自在に戯れるような神仙境はまさに現代芸術の奇跡だった。1/21

 

ベームと初来日したアバドがあんぐり口を開けてウィンフィルを振ったベト7は最悪。詰その後ベルリンフィルのシェフとなっても駄目で、ようやく一皮剥けたのがシェフ退任前後にガンに冒されながらライブで振ったベト全集。実に大器晩成の人である。1/24

 

晩年になってもアバドブルックナーは駄目。マーラーは晦渋さと無縁で地中海の光と影が交差するような演奏がユニークだったが、代表作といえばやはりオペラ。ロッシーニの「理髪師」ヴァルディの「シモンボッカネグラ」あたりだろうか。ロンドン響とのメンデルスゾーンも良かった。1/24

 

私がもし都民なら、今回の選挙では弱者視点が明快な宇都宮選手に投票するだろうな。他の選手たちの「反原発」は大歓迎だが、原発以外の問題についての政策が不透明で人物がみな後ろ暗い。新知事には不要不急の五輪も返上してもらいたし。1/20

 

どんな戦争も愚かな行為であり天への大罪であり、無事平穏にまさる仕合わせはないと承知しているにもかかわらず、みずから戦争に近づいていくこの人物の愚かさを何に譬えればいいのだろうか。1/18

 

文は人なりというけれど、私はむしろ音楽だと思う。それがどの作家であれ、私たちは文章の意味内容の下を流れているさまざまな音楽に聴き入っているのだ。

 

人間は自分の心の中にある要求に応じて大事なものを発見しなければならないのです。ドナルド・キーン 1/15

 

私は文章に剥き出しの「思想」だけがあって、ユーモアやアイロニーのない作家や評論家の作品は読みたくない。そういう人たちの精神は偉大であるかもしれないが、不健康なのだ。

 

醜い肉体が必死になって美しい世界を支えている。ああ、こういう共存の中に文明というものがあるのだな。辻邦生 1/15

 

議会制民主主義への不信と絶望が渦巻く時、ファシズムと専権独裁制への根拠なき願望と期待が膨れ上がる。われわれの父祖たちが辿ったいつか来た道が、いままた我々の前途に見え隠れしている。歴史は繰り返すのだろうか。1/9

 

日本の企業が環境広告を垂れ流し始めたのが2000年代からで、それは民主党政権時代に全盛を迎えたが安倍政権の誕生でぷっつりと跡を絶った。それは「人と環境と地球に優しくしない時代」の到来を意味している。1/8

 

安倍首相の顔が何かに似ている、とずうっと思いめぐらしていたのだが、ついに分かった。彼はラ・フォンテーヌの寓話に出てくる無限膨張自爆カエルに似ているのだ。1/8

 

いくら株価が上昇しても賃金は増えていないし、「第3の矢」はとっくの昔に行方不明となっている。少子高齢化財政赤字、資源エネルギー不足社会の中で、成熟経済からいま再びの、あるいは半永久的経済成長をめざすという発想それ自体がおかしいのではないだろうか。1/8

 

成長するためにはまたぞろ大量の資源エネルギーを投入して、大量生産、大量消費の回路を再構築しなければならないが、じつは私たちの心の底ではそのような新高度成長社会に対する欲望や薔薇色の幻想、まして達成のための情熱はすでに失われているのである。1/8

 

アベノミクスの成功を信じているのは安倍首相だけであって、半信半疑でカエルの後に続いているレミングたちも、消費税導入による株価暴落などが惹起してカエルが自爆すれば、けっして海には飛びこまないだろう。1/8

 

頭を使って世界を解釈したがるヒョウロンカはますます繁殖しているが、世界を少しでも変革しようと実際に手足を動かしている人間はますます減少しているようだ。

 

雨の中、花に水をやる少年を、君は馬鹿というか、それとも天使というか。1/8

 

ふだんからあまり付き合いの無い人に年賀状なんか出さないほうがいいという考え方もあるし、いやだからこそ出した方がいいという考え方もあるなあ。1/8

 

黒のバックに黄色の文字のブログを、いったい本人以外のだれが読むのだろう。

そうか、他人には読ませないで、ただ自分のためだけに書いているのか。1/7

 

次々に新しい年を迎えてはそいつを見送ることが、だんだんわずらわしくなってくるなあ。1/6

 

 

なにゆえにかくも醜い日本語を話すのか君が弾くヴァイオリンは美しいのに 蝶人