蝶人戯画録

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出光美美術館で「富岡鉄斎展」をみる

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茫洋物見遊山記第153回 

 

 昔から死んだ祖父が惚れ込んでいた鉄斎をみる機会に恵まれた。

 

 没後90年を記念して開催中の同展をみての感想は、ずいぶん色っぽい日本画を描くもんだということで、それはもちろん普通なら無彩の山水画に遠慮なく色彩をまぶしているせいでもあるが、この人物の歳はとってもけっして枯れない現世への欲望のあぶらぎりのせいに違いない。

 

 世になき文人と称され、深山幽谷における隠遁生活を理想として、そのような状況に仮託したような絵ばかり描いてはいても、それらは所詮外面をとりつくろう仮の姿、しかしてその実態は旺盛なる欲の塊で、その現世的な原始生命力の間歇的な噴火爆発は死ぬまでとぎれることはなかったのだろう。

 

 そんな古代的な巨人にしても、その作品は年をとるほど深みと底光りが出てくるということで、当然最晩年である大正12(1923)年の「蓬莱仙境図」などは、山も岩石も極度にデフォルメされ、無造作かつ宇宙的に単純化されている。

 

 その構図の大胆さと筆致の自在さは完璧にロックンロールしており、ちょっとフルトヴェングラーベートーヴェンの第7交響曲や、現代抽象画のブラックを思わせるようなアヴァンギャルドな世界を表現しているようで痛快だった。

 

 

 なにゆえに大嫌いな顔ばかり垂れ流すNHKは朝から晩まで安倍放送局 蝶人