EMI 盤「ALEXIS WEISSENBERG10枚組CD」を聴いて
音楽千夜一夜第334回
「自分への御褒美」ということで、なんかかんか機会あるごとにクラシック音楽のCDをHMVやタワーレコードやアマゾンで購入してきたのですが、いまではそれらが書斎の足元に散在していて、飯を食うために部屋を出ようとするたんびに蹴躓いて、お皿がそこいらに飛び出す始末です。
それにもめげずに、パソコンに向かって仕事をしながらせっせせっせと聞きまくってはいるのですが、テレビにどっさり録画したオペラやコンサートや映画も見なければならないし、この調子では死ぬまでに全部は聞ききれないかもしれないな、と思いつつ、今は亡きEMIのアレクシス・ワイセンベルクの10枚組セットを聞き終えました。
ワイセンベルクなんかカラヤンの言いなりになってる超絶技巧ロボットのような不感症ピアニストだ、と長らく思い込んでいたけれど、それはとんでもない誤解で、この人は華麗なテクニックに加えてチャイコフスキーでもブラームス、ラフマニノフ、ムソグルスキーでもバッハでもシューマンでも、いうべきことはちゃんと言っていることに気付きました。
特にいいのはジュリーニ、ウイーン響と入れたモザールの9番、21番、それと意外なことに小澤&パリ管と入れたプロコフィエフの3番で、小澤とプロコが大嫌いな私も思わず聞き入ってしまったのは、それだけワイセンベルクが凄腕だからでしょうか。
ちなみに小澤選手は晩年のサイトウキネンとかウイーン、往年のボストン響なんかより昔のトロントとサンフランシスコ響、それにパリのオーケストラとの相性がいちばん良かったように思います。
なにゆえに歳をとるほど退化する名のみ高くてつまらぬ指揮者 蝶人