蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

本多猪四郎監督の「ゴジラ」をみて

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bowyow cine-archives vol.697

 

 

何十年ぶりに見たがさしたる感銘なし。演出はとろいし、クリーチャア(粒円谷特製の作り物ゴジラのこと)はチャチイし、なんでまあこんな駄作がヒットしたのかしら。

 

そもそもゴジラは水爆実験で深海から浮上してきたジュラ紀の古生物なのだから、いくら水爆の汚染や器質変化の影響を受けていたとしても、自衛隊の砲撃で皮膚が貫通されないはずがない。ましてや口から炎を吐くわけもない。

 

結局ゴジラを撃退したのは、酸素を絶つことで魚を無きものにする新兵器「オキシジェン・デストロイヤー」であったが、薬効は広大な海域に雲散霧消するから、ゴジラだけをやっつけることなどどできっこない。しかも決死隊は命綱をつけて潜っているから、ゴジラは本船のすぐ近くにいたことになる。

 

どう考えても子供だましのラストであった。

 

ただ2つだけ収穫があって、それはご存じ伊福部昭の音楽とヒロイン河内桃子の可憐さ。私見では後代になって持て囃されるようになった「かわいい」女優の元祖が彼女なのである。

 

 

 なにゆえにカワイカワイと持て囃す河内桃子が可愛かったから 蝶人