蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

フレッド・ジンネマン監督の「ジャッカルの日」をみて

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bowyow cine-archives vol.714

 

 極右テロリストが雇った英国の殺し屋ジャッカル(エドワード・フォックス)が仏蘭西のドゴール大統領を暗殺しようとするが失敗して殺される話です。

 

 ともかくフォーサイスの原作がよくできていて、ハラハラドキドキしながら最後まで引っ張るジンネマンの演出力は見事であります。

 

 そんなスリルとサスペンス満載の緊迫映画のスパイスとして彩りを添えるのは、ジャッカルと紅一点モンペリエ男爵夫人(デルフィーヌ・セイリグ→「去年マリエンバートで」)との一夜の情事なりき。

 

 まったく男にすげない態度を見せ、部屋のドアに「ドント・ディスターブ」の札を掛けておきながら、鍵は掛けずに、内心では男を求めていた女心の機微、なんてふ事情が見事に描かれていて、いたく勉強になりました。

 

 

  取るべきか取らざるべきか迷う日々僅かに太る裏庭のミョウガ 蝶人