蝶人戯画録

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鎌倉国宝館の「菅原道真展」をみて  

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茫洋物見遊山記第157回&鎌倉ちょっと不思議な物語第323回

 

 東国の天神信仰の中心にあった荏柄天神社に伝来した宝物の数々が陳列されている「鎌倉ゆかりの天神さま」特別展です。

 

 チラシには、「菅原道真(845~903)を祭神とする天神は、はじめ怨霊神として畏怖されていましたが、時代とともに変容を遂げ、広範な人々の信仰を集めるようになります。そして今なお、特に学問・文芸の神様として、篤く信仰され続けています」などと呑気なことが書かれているが、とんでもない。

 

 鎌倉の市街地をかつて縄文人がそうしたように見下ろす荏柄天神社を訪れても、ここ鎌倉国宝館の会場を見回しても、悪辣非道な藤原氏に命脈を絶たれた菅原道真公の強大な怒りは、10世紀後の現在もなお、その噴怒と骨髄に徹した恨みを平成の世に振り撒いていることは、巨大な束帯天神図を一瞥すれば分かりそうなものです。

 

 なお本展は来る12月14日まで同館にて開催中。

 

  管公の恨みは深しいまもなお国宝館に漂う霊気 蝶人