蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ロベルト・シュヴェンケ監督の「フライトプラン」をみて

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bowyow cine-archives vol.729

 

 久しぶりに見たジョデイ・フォスターは、やっぱりだいぶ年をとっていた。

 

 ハリウッド女優の多くは年をとると仕事が急激になくなるからかつてバリバリに活動していたこの人でも、生活は大変なのではなかろうかと、余計なことを考えながら見物していた。

 

 そしたら、はじめは老女にごとく病み衰えていた彼女が、悪い奴の悪巧みにひっかかって愛娘を誘拐されてからは、それこそ脱兎のごとく別人23号のごとく、熱血鉄女のごとく、八面六臂の超人的な大活躍をして絶体絶命の危機を乗り越え、張本人をやっつけ、とうとう無事にわが子を胸に抱きしめたので、こはいかにと驚いた。

 

 しかしはじめはてっきり善人のような顔をしていた者が、後になってじつは悪人であったと後でわかるというのは、映画の上での絵空事とはいえ、自分の見立てが覆されたようで、いくぶん不愉快になるものである。

 

「WINWIN関係がベスト」などとほざくなかれ俺はお前と戦っているわけじゃない 蝶人