蝶人戯画録

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ヘンリー・ハサウェイ監督の「ナイアガラ」をみて

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bowyow cine-archives vol.733

 

 

ちょっとおつむの具合がおかしくなったジョゼフ・コットンがどことなく色情狂的な愛妻マリリン・モンローとその浮気相手を殺してしまう非常に暗い夫婦喧嘩の話だが、なんせそんな面白くもないプロットよりも、天下の名勝ナイアガラの滝が主人公の映画というても構わないだろう。

 

この映画をみれば、もうわざわざ現地へ行って観光しなくてもいいのではないかという気持ちになる。

 

 ハサウェイは器用な監督だが、せっかくモンローを使いながらあまりにもステレオタイプな一面で切り取っているのがきわめて残念なり。

 

 ラストでは流されるボートに乗ったジョセフ・コットンが、滝口が迫る滝口の目前でなんとか沈没させようと骨を折るのだが、もし沈没させても結局助からなかったのではないだろうか。

 

 薄幸の蒼ざめた佳人が歌っているドデカフォニーのような現代短歌 蝶人