蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

家族の肖像 その5~「これでも詩かよ」第109番

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ある晴れた日に第269回


真っ青な空はつまらない。
雲がないかと探してしまう。

真っ白な家はつまらない。
偽善者が住んでいるのではないか、と思われてしまう。

昔むかしあるところに、夫婦者が住んでいました。

夫「さあ君が手作りした標札を、我が家の入り口にとりつけよう。
外壁の白に合わせて背景は白。人型と文字はそこから浮き出す軽快なあおみどりで」

妻「ちょっと派手じゃないかしら?」
夫「大丈夫、大丈夫、思い切って塗ってみよう!」

妻「さあ出来た。どうかしら?」
夫「いいじゃないか、村で一番気がきいた標札さ」

真っ白な家はつまらない。
偽善者が住んでいるのではないか、と思われてしまう。

真っ青な空はつまらない。
雲がないかと探してしまう。


霊園にはおじいちゃんとおばあちゃんが住んでいるよねと夜中に叫ぶ耕君 蝶人