蝶人戯画録

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東京フィルメックス編「この映画を観れば世界がわかる」を読んで

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照る日曇る日第744回 

 

 

 私も不勉強でよく知らなかったのですが、アジアの新進監督による創造性と独創性みなぎる新作を中心に、世界の先鋭的な傑作映画を毎年セレクトしてきたのが、東京フィルメックス」という国際映画祭であるらしい。

 

 思うに近年俗流大衆路線に転落して内外の失望を買っている「東京国際映画祭」の反面教師のような、前者を昼行燈とすればさながら月光仮面のような貴重な役割を担っているフェスティバルなのでしょう。

 

 それはここでリストアップされた、我が国の塚本晋也園子温、アジアのアピチャッポン・ウィーラセダクン、キム・ジウンキム・ギドクロウ・イエ、欧州のアッバス・キアロスタミ、ペドロ・アルモドヴァル、カルロス・サウラ、北米・南米のニコラス・レイトム・フォードなどの名前をみれば一目瞭然です。

 

 私の親戚の金谷重朗選手をはじめ、東京フィルメックス事務局の常連メンバーが執筆した映画批評を読めば、「世界がわかる」かどうかは別にして、悪魔のようなグローバリズムと野卑な商業主義と孤立無援で闘いながら、世界の最前線で映像文化を深耕している優れたクリエーターの意欲作とめぐり合うことができるでしょう。

 

 読者諸賢の一読をお薦めします。

 

 

   この道はいつか来た道愚かなる我らが戦に突き進みし道 蝶人