蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第17回

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西暦2014年霜月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.189

 

 

安倍蚤糞が破綻する時、ニッポン帝国復古主義者のねじくれた野望も頓挫する。株高至上主義を盲信する今回の異常な金融緩和頼みが蜂の一刺し。蟻の一穴。11/1

 

詩歌の森に迷い込んで徒に党派を組んだり、他の党派にスコラ哲学的な異を立てたりするのは、左翼の政治運動の構造と瓜二つである。うざったい屁理屈をまき散らさずに、己が良しと信じる歌を、詠みたいときだけ黙って詠めばいいのだ。11/2

 

ふぁちょん業界を素材にしたTVドラマ「ファーストクラス」は漫画的に面白い。されどあまりにもデザイナーなど商品企画のスタッフの動向に光を当てすぎて、企業経営の中核である営業や販売の世界を等閑視しているのが惜しまれる。11/3

 

N響の演奏会を視聴していると、ほとんど毎回曲が終わるか終らないうちに「ブラボー、ブラボー」と絶叫している男がいる。たぶん詰らない演奏ばかりで不人気のN響の回し者だと思うが、なんとかならないものだろうか。11/3

 

我々は、より重大で急を要する問題に頭と心を悩ませずに、ほとんど不要不急の直近の問題に一喜一憂しながら日々を蕩尽してゆく奇妙な動物である。11/5

 

その内部に骨と筋肉が通過する肉の上に皮膚が乗り、その皮膚の形状が、生物あるいは動物としての人間の外部的形状を形作る。それらすべてが造化の賜物であるとするならば、我々がその形状の美醜について語るのは僭越というべきべきだろう。11/6

 

十字架にかけられたイエスは、「わが神、わが神、なんぞ我を見棄て給いし」と叫んだというが、この台詞は、じつは旧約の詩篇第22編の冒頭の引用である。トーマス・マンフロイトと未来」11/8

 

朝日歌壇の永田和宏氏が、私の短歌を第3席で選んで下さった。

 ―もうええわ、わたしお父ちゃんとこ行きたいわというて母身罷りき

「母親の話し言葉がいきいきと伝わる。悲しさとこれで良かったというほっとした思い」と評して下さったのが嬉しい。11/9

 

「真に一宿一飯の義理の名によって、人々に恩も怨みもない他人を殺せと強制することができるのは、やくざよりもむしろ国家である」(佐藤忠男長谷川伸論」)11/10

 

いろいろな国を訪れ、いろいろな所に行っていろいろな人と交わり、寝たり喰うたり遊んだりもしたのだが、この歳になると陋屋の半畳で誰にも会わず、番茶なぞを飲みながら絶版の岩波文庫を読むのが無上の喜びなのであった。11/11

 

詩作は、悩める魂に対して、いささかの慰安と自己満足と精神の撹乱を与える。11/11

 

安倍の抜き打ち解散総選挙は、彼の独裁専制体制を確立するための陰謀である。なんとしても日本のイトレルの誕生を許してはならない。11/13

 

あらゆる存在は一度だけだ。ただ一度だけ。一度、それっきり。そしてわれわれもまた一度だけだ。繰り返すことはできない。リルケ「ドゥイノの第9の悲歌」

 

ピアソラの音楽を聴き続けているとだんだん飽きてしまうのは、その運動している場所が芸術のかなり軽薄な地点にあるからだろう。EXILE のモンキーバックダンサーにも似て。11/13

 

地方創生、過疎地振興の秘策は、消費税ゼロ市町村の立ち上げである。こうすれば他の市町村からの移住が増加して地域経済が活性化される。以下玉突きのように同様の措置を講じて、最終的には消費税を全廃しつつ景気を回復するのである。11/13

 

錦織圭がこの国の光明を、安倍晋三が暗黒を象徴している。11/14

 

1931年のプディング准将の「ヨーロッパ政治において起こりうること」ではあらゆる可能性の順列組み合わせを網羅したはずなのに、ヒトラーの登場については全く触れられなかった。トーマス・ピンチョン「重力の虹」

 

権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する。歴史の織物は、無垢な織り手が織るのではない。歴史家ジョン・アクトンの言葉をトーマス・ピンチョンが「重力の虹」で引用。

 

大リーガーに3連勝。おまけにノーヒットノーラン。なんとなく41年12月8日の臣民の胸中を忖度す。11/16

 

小林秀雄吉本隆明の論考はいくら読んでもちんぷんかんぷんだが、彼らはその思索の結果を私たちになぞれというているのではなく、自分たちのように自由にものを考えてみろと挑発しているのである。11/17

 

高倉健死去。なんだか古い良き時代を背負った男が静かに立ち去っていったなあと思うのである。11/19

 

景気回復が遅れているから消費税を上げられないというのは、つまりは安倍蚤糞がうまくいっていないことを自認していることになる。だから12月14日は赤穂浪士とともに安倍の悪政への恨みを晴らす絶好の機会なのだ。11/19

 

安倍蚤糞を失敗させただけではない。憲法に違反して靖国に参拝し、従軍慰安婦への加担を否定し、武器三原則を破り、集団自衛権を公認し、特殊秘密法案で民衆の表現の自由を抑圧した。これ以上自称右翼の軍国主義者に政治を委ねてはならない。11/19

 

政治も経済も社会政策も、現在の安倍政治の正反対の方角へ突き進むことがいわゆる「国益」に資するのだから、野党は小沢一郎が説くように「反自民党」をでっちあげて対抗すればいいのである。11/19

 

羽仁未央ちゃんが、たった50歳で亡くなってしまった。美人で、頭がよくて、じつに魅力的な女性だったなあ。惜しいなあ。悲しいなあ。もういちど会いたかったなあ。11/20

 

世界中で階級と貧富の格差が深まってゆくとき、偽善的な用語とは意識せずに下々に投げかけられるsocialとかethicalという名の憐みの光が、地球の末世を臆面もなくまぶしく照らす。11/20

 

フランス映画社が倒産したときいて驚く。この小さな会社が配給してくれたあのBOWシリーズによって、私たちは知られざる世界の名匠の傑作に接するという唯一無二の貴重な恩恵に浴することができたのだった。3800万円の負債というが、なんとかならなかったものか。柴田社長の胸中はいかばかりか。11/20

 

富士フィルムが化粧品への進出と引き換えに、映画の35ミリフィルムの製造から撤退したことは、世界の映画界にとって痛恨の極みであった。めりはりのあるコダックに対して富士独特の透明な紫の色調は、本邦のみならず欧州映画で愛されていただけに、その文明史的損失は未来永劫はかり知れないものがある。11/24

 

それにしても「刺激惹起性多能性獲得細胞」どうなったんだろう? いやなにSTAP細胞のことですけどね。11/24

 

NHK「マッサン」の主題歌「麦の唄」でも使われているが、「時代」などという言葉を平気で歌えるのは、中島みゆきくらいだろう。しかしこの歌の「なつかしい風景」は「なつかしい景色」とするべきだ。11/29

 

作家ヘミングウエイの弟、レスター・ヘミングウエイが、ジャマイカの南方の浅瀬で人口わずか1人の国家「ニューアトランティス」の独立を宣言したことがある。井上ひさし11/29

 

今度の選挙。国民の自由を奪い取り、戦争への道をまっしぐらに目指す自民党とその小判鮫の公明党以外の政党に投票することだ。さかしらに棄権なんかせずに。11/30

 

 

  さかしらに棄権なんかしたひとは2人に1人 次回は投票権無しだからね 蝶人