蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

バリー・レヴィンソン監督の「ナチュラル」をみて

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bowyow cine-archives vol.755

 

 

 レッドフォードの男度阿呆野球命根性物語なり。

 

 遅れてやって来た35歳のルーキーの起死回生の一撃が、スタジアムの照明を爆砕して時ならぬ花火となって降り注ぐラストは、これぞ野球の醍醐味となんどみても感動する。

 

 しかし主人公のデビュー直前の16年前に彼の前に現れた謎の美女が、いきなり拳銃で撃つというエピソードはあまりにも唐突過ぎて、物語の構成の致命的な傷口となっている。

 

 野球の素晴らしさを教えてくれた父親の記念にレッドフォードが家の前にあった大樹から「ワンダーボーイ」という名のバットを手作りして、これを大リーガーになってからも使うという挿話がよい。

 

 クライマックスではその大事な「ワンダーボーイ」が割れてしまうのだが、レッドフォードは球団のバットボーイと一緒に造った「サボイ・スペシャル」で逆転ホーマーをぶっ放すのである。 

 

 

  「きょうママンが死んだ」さてお立会これは虚構か真実か 蝶人