蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2015年月蝶人花鳥風月狂歌三昧

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ある晴れた日に第280回

 

 

耕君が首長くして待っている鎌養の教師に出した年賀状の返事

 

国立劇場のバスが出てゆくたびに深々とお辞儀している女の子

 

世の中のいっとうはじめの神と人を思いのままに描き出したり

 

フェルメールショパンの良さは分からぬがルソオとモザールの良さなら分かる

 

凡百のくだらぬ指揮者を葬りて百年にひとりの天才を蘇らせたし

 

誰ひとり通らぬ道を歩みゆく風が過ぎゆく真白き道を

 

二十枚連番で買っておけば一億円当たっていたと妻が言うなり

 

サザンの歌はワアワアワアお前の頭はパアパアパア

 

それにしても何処へ消えたのだろう私の大事な手袋万歩計

 

「きょうママンが死んだ」さてお立会これは虚構か真実か

 

一首だに下手くそな歌は許されぬ詠めませぬ有名歌人はお気の毒可哀想なり

 

まなかいてふ言葉をいちど使ってみたかったまなかいまなかい私の短歌に

 

五七五七七の流れに身を任せ嘘八百の歌を詠みたし

 

生兵法で短歌なんか詠むなかれあっちこっちで怪我をしますぜ

 

コジュケイタイワンリスも猪も徘徊老人も出る鎌倉の冬

 

割烹着箪笥に仕舞う寒の人

 

壇ダダン弾ダダン段々無くなる権威のお城

 

夕されば大きな猪も現れてハンター色めく鎌倉の正月

 

「昨夜五〇キロの猪が出ましてねえ」お隣のヒグチさん楽しげに語れり

 

もう一度浮かれてみたいなポンポコリン狐になったり狸になったり

 

銀行とは阿漕な商売なり客を並ばせ金を預かる

 

漆黒の闇と不安に包まれて我ら今ゴッサムシティに住む

 

目に見えぬ暗黒物質に囲まれて我ら今ゴッサムシティの住人

 

切れ目のないシームレス・ストッキングを被った醜い男が抜け目のない選挙をしたようだ

 

しばし待てエイリアンが飛び出すだろう安倍蚤糞は獅子身中の虫

 

リモコンで切り替えても切り替えても出てくる存在自体が不愉快なあの醜い顔

 

ハチャメチャな自家の平和はさておいて天下国家を勇ましく語る人

 

軍隊が民衆を守るなんて冗談じゃない満洲沖縄みな裏切りやがった

 

ヨミウリやサンケイ繰れば聴こえてくるよいと勇ましき軍楽の響き

 

沖縄を見よ満州を見よいざとなれば我らを見棄てて逃亡する軍隊

 

散華とは国が強いたる犬死にと思い知るこそ慰霊なりしを 

 

次々にいかがわしき専門家が現れてもっともらしきことをのたもう

 

 

それにしてもこの国の政治は奇妙だと宇宙人トミー・リー・ジョーンズ語れり 蝶人