ドロンの映画を2本みて
bowyow cine-archives vol.779&780
ドゥッチョ・テッサリ監督の「ビッグ・ガン」をみて
アラン・ドロン扮する殺し屋が、足を洗おうとしたが許されず、妻子を殺されてしまったので欧州闇社会の親分たちを屠ってゆくが、ビビった幹部の和解に乗ったのが仇となって味方のはずの男にあっけなく殺されてしまうという哀れなお話。
車の爆破、むごたらしいリンチ、女性への暴行等々、全体を覆う殺伐とした無常感を評価する人もいるのだろうが、どうにもこうにも陰々滅滅な気分に陥るやな映画です。
ジャック・ドレー監督の「友よ静かに死ね」をみて
原題は「ギャング」なのでそうすればいいのに、わけのわからぬ邦題がつけられている。
ドロンはギャング映画が多いが、ここではいつものクールガイではなく、パーマをかけ、陽気で怒りっぽい頭領を楽しげに演じている。まるで愉快犯のように仲間と銀行強盗をやらかすのだが、戦後の対独協力者(コラボ)の取り締まりを終えた警察が包囲網を狭めているにも関わらず大胆不敵な逆襲に出る。
このようにジコチュウで冷静に敵の情勢、空気を読めない男はいつの世にも大勢いるものだが、われらがドロン選手もよせばいいのに銀行強盗を成功させたその足で、愛妻への宝石を求めに行ったりするものだから、どつぼに嵌るのである。
こんな漫才のような死に方ではとうてい「静かに」なんか死ねなかっただろう。
アラ、ドロンかいな昔むかしヴィスコンティなんかに使ってもらっていた頃が一番輝いてたなあとは朧 蝶人