蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第21回

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西暦2015年弥生蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.194

 

 

「どう生きたか」ではなく、「どう生きるか」だ。山本周五郎「小説日本婦道記」3/2

 

動かない家の時代は終わった。「リトル・ホラーショップ」や「踊るサンマ御殿」のようなポンポコリンな家、音楽や住人の感情に合わせてスイングし、ダンスする家、ロケンロールな家が求められている。3/2

 

悼む人への問題。偽イスラム国に虐殺された青年への涙と仲間に虐殺された川崎の少年への涙、暗殺されたロシアの野党指導者への涙の質と量の違いについて考察せよ。3/3

 

涙には感情的な涙と悟性の涙、そして無自覚なダダモレ涙があるのだろう。3/3

 

殺された者へ注がれる一掬の涙は、殺した者の母親に注がれる一掬の涙と地下深くにある涙の谷でつながっているはずだ。3/4

 

憲法がそれを禁じているのに、またなんの必要も必然性もないのに、どうしても軍隊を海外に派兵したいとダダをこねている連中がいるようだ。3/5

 

人間なんて弱いものだ。人間なんて弱いものだ。人間なんて弱いものだ。人間なんて弱いものだ。人間なんて。3/7

 

もはや誰も介入できない心身の大混乱、押し寄せる不安と異様な急迫、そのとき暗い空から舞い降りる一筋の白い糸の揺曳のごときものとして、自死へのあこがれが立ち現われるのだろうか。3/8

 

実行できもしないのに経済最優先と喚く男が、海外派兵最優先と称して密室で憲法違反の悪だくみを図っている。3/9

 

「3・11」を身近に体験したはずの島国の男が、遥か彼方から観察していた異国の女性より切実に直視していなかったというのは、21世紀の歴史の皮肉のひとつといえるだろう。3/11

 

「安倍さえ決意すれば原発は廃められる」と力説する元首相は評価できるが、「勝手に安倍談話を出せばいい」という放言ぶりは相変わらずの無責任男だ。3/12

 

しかし小泉が言うように「首相一人が決断すれば原発政策が変わる」ほど宰相の権限が巨大であるということのほうが、むしろ問題だ。「安倍が決断すれば○○でも○○でも何でも出来る」ということなのだから。3/13

 

誰ものぞんでいないのに偽ロシア国グルジアを訪れる鳩山元首相。こういう能天気な政治白痴が民主党政治を裏側から損耗し、結果的に安倍専制独裁政治を招来したのである。3/13

 

帰納と演繹万能主義による要素還元換骨奪胎手法全盛の中で、歴史の真実は絞め殺されていく。格調高い正史を投げ捨て、梅原猛司馬遼太郎は、玉虫色をした偽史の穴に潜り込んだ。3/15

 

自公の一握りの政治家が、国民の蚊帳の外で、我が国の安全保障について恣意的な談合と聾断を行うことは、それ自体が許されざる憲法違反行為である。3/16

 

グルジアを併呑する際に核兵器の準備をしていたとはなんということだろう。プーチン恐るべし。3/17

 

こないだ終了したテレビドラマ「ゴーストライター」と「まっしろ」がマア面白かった。前者ではあんな編集者と役員が講談社にいそうな気がするし、後者でも脚本が冴えていた。それにくらべて「マッサン」と「花燃ゆ」の酷さは目に余る。あれはドラマというより学芸会。3/18

 

チュニジアにおける邦人殺害も、ある意味では安倍首相の誤った対「偽イスラム国」対策の犠牲者といえるだろう。私たちがどんなに治安がよいとされる国に出かける場合にも、テロの危険を「自己責任」で引き受けなければならないというこの非常事態。3/19

 

「ように」という日本語を「よに」なんて歌うな。けたくそ悪くて身の毛がよだつ。福山君、とりあえずあんたに言っているんだ。3/20

 

「俗悪な音楽を嫌うのはいい。しかし軽蔑してはいけない。高雅な音楽より低俗な音楽のほうが遥かにしばしば、遥かに情熱をこめて演奏され歌われるので、前者より後者が徐々に、人々の夢や涙で満たされるにいたった」プルースト「低俗な音楽への賛辞」(岩崎力訳)

 

いずれ慰めを見出すように、人は癒されもする。人の心の中には、いつまでも涙を流し、いつまでも愛し続けるほどのものはないのだ」ラ・ブリュイエール「人さまざま」(岩崎力訳)3/20

 

理非曲直を正す韓非子を装う手合いが戦争準備を進めているが、いったん戦争が始まってしまう理非曲直なぞ吹っ飛んで殺戮の無限の泥仕合に巻き込まれてしまう。だから、いかなる大義名分があろうとも刀を抜いてはいけないということが分かっていないようだね。3/21

 

コンスタンツェ「ドゥルクンシュープちゃん。もう8時、どうしようもないわ」

モーツアルト「私の大事なバガテルちゃん、僕は出かける、君は残る。なんて悲しいことだろう。雨が降れば濡れちあまう、もうどうしようもない」

友人1「モーツアルト君、黙れ、黙れ、首をへし折っちゃうぞ」

友人2「お情け、お情け、僕はノミに食われちゃった」

モーツアルト作詩作曲の諧謔的四重唱K571a

 

それにしても宮本文昭ってどうしてオーボエの演奏をやめたんだろう。あれは世界の音楽界にとっても大いなる損失であった。今月限りで指揮者から足を洗うそうだが、ぜひとも演奏を再開してほしいものだ。

 

大量のトイレットペーパーを使うしょうぐあい者にどう対応すればいいのだろう。怒ったり注意したりするのは最悪であることは間違いない。

 

月曜日の朝日歌壇。「二十年投稿すれど選ばれず出したはがきは七千枚に」。佐々木幸綱選の最後に掲載された横浜市武市治子さんの一首に思わず笑ってしまったが、その気持ちはよく分かる。1枚50円としても三十五万!「七千枚に」籠められた怨念はついに報われた!3/23

 

大嫌いなモンゴル人の横綱を徹底的にやっつけてくれる強い国産相撲取りが久しぶりに登場したと思って喜んでいたら、なんとなんと、彼もまたモンゴル人なのであったあ。3/24

 

「わが軍隊」か。お山の大将おれひとり、ってか。専守防衛自衛隊どころかいっさいの軍備の所有を認めない憲法第9条を甚だしく棄損し、意図的に反逆しようとする発言だな。3/26

 

「フライシュテットラー君、ガウリマウリ君、ハリネズミ君、どこへ行くつもりですか?フィンタでもなければスクルテッティでもない。というと結局他のところへ行く訳だね。それじゃあキッチャーのところへ行く訳か、リリエンフェルトさんの所へ行くつもりか。

モーツアルト作詩作曲四声のカノン「親愛なるフライシュテットラー」3/27

 

そうじゃないでしょう?フライシュテットラーでもなきゃ、ガウリマウリでもなきゃ、

ハリネズミ君でもなくて、君はリリエンフェルトさんですね。モーツアルト作詩作曲四声のカノン「親愛なるフライシュテットラー」3/28

 

新覇者中国主導のアジア投資銀行に雪崩打つ主要国のなかで、2人淋しく孤立する日米阿呆莫迦親子同盟。いい加減で激変するパワーオブバランスに目を開き、それなりの主体性を発揮すべきだが「わが軍」の指揮官が安倍蚤糞では到底無理だろうな。3/31

 

 

   展覧会に雑巾の絵を出すといういったい誰が買うのだろうか 蝶人

 

渋谷ヒカリエ8階で今月12日まで開催中。http://www.hikarie8.com/cube/2015/03/hikarie-contemporary-art-eye-vol1.shtml