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蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

神奈川県立近代美術館葉山館で「日韓近代美術家のまなざし」展をみて

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茫洋物見遊山記第178 回

 

 大日本帝国が朝鮮を植民地にしていた時代には、藤島武二、小杉放庵、富本憲吉をはじめ数多くの作家が半島へ出かけて絵を描いたり陶器を焼いたりしていたことを迂闊にもはじめて知った。

 

 わが帝国は、彼の地に芸術学校を作って美術の教育をしたり、内地に留学生を迎えたりしていたことをここに並んだ数多くの作品をみて遅まきながらはじめて知ることができた。

 

 絵画には当時の朝鮮の人々の風俗や習慣が物珍しく描写されており、過去の歴史的、文化人類学的な資料ともなっていて貴重であるが、それらの前提になっているのは、わが国の他国への侵略と支配であることを忘れてはならない。

 

 チョ・ヤンギョという作家の表現主義的な作品を興味深く鑑賞したが、彼は1956年に北朝鮮に「帰国」してまもなく行方不明になったそうだ。

 

 当時は在日朝鮮人の帰還運動が盛んで、私の妹の友人のリー・クッスンも元気に帰国していったが、今頃はどうしているんだろう。もしかするともう生きてはいないかもしれないな。拉致した日本人を返さない北朝鮮は、自発的に帰国したチョ・ヤンギョやリー・クッスンも返さないのである。

 

 なお本展はすでに5月8日に終了していますので悪しからず。

 

 

 チョ・ヤンギョ、リー・クッスンをいますぐ返せ17名の拉致被害者と共に 蝶人