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蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第24回

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西暦2015年皐月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.202

 

 

「うち、ここで降りるッ。」アヤちゃんは起ち上った。「うちは、こッから京都へ出て、博多へ行くからッ。」アヤちゃんがプラットフォームへ飛び出した。咄嗟に私も起ち上がろうとした。車谷長吉赤目四十八瀧心中未遂」6/2

 

「こんな国一度壊れてしまえばいいんだ」という自棄的な気分は、左右を問わず、多くの日本人に共有されていると感じます。内田樹

 

靖国神社の問題は、それが戊辰戦争の官軍の死者を祀るものであって、賊軍の兵士たちの鎮魂のためのものではなかったということです。内田樹

 

「彼らは私の友人であったという理由で殺された。中国人は日本人である私に対して示してくれた雅量を、日本人に通じた同胞には示さなかった」内田樹氏の父君

 

真崎甚三郎は佐賀、相沢三郎は仙台、相沢に斬殺された永田鉄山は信州、東条英機は岩手、石原莞爾は庄内、板垣征四郎は岩手。いずれも藩閥の恩恵に浴することのなかった軍人たちが30年代から陸軍上層部に駈け上がってきた。内田樹

 

雌伏半世紀、薩長の明治体制の転覆を目指して陸軍のエリートとなった「旧賊軍」の子弟たちが、満州事変を起こし、昭和維新を呼号して2.26事件を起こし、日中戦争を始め、対米戦争を始めた。内田樹

 

バレンボイムのミラノスカラ座引退公演「フィデリオ」を視聴。序曲レオノーレ第3番の遅すぎる重厚長大、そして終曲の息も絶え絶えの疾風怒涛に、良かれ悪しかれ彼の個性と主張が貫かれていた。70年代の巴里シャンゼリゼ劇場で聴いた「ドン・ジョバンニ」を思い出す。あの夜観客の半分はブラボー、半分はブー。彼は昂然として睨め付けていた。6/5

 

バレンボイムのピアノも、指揮に劣らず個性的だ。たとえばベートーヴェンピアノソナタ第16番ト長調のはじめのところでは左手で和音、右手でそれに合わせた旋律を弾くのだが、楽譜では同時に鳴らすべきところをわざとコンマ何秒左手を遅らせ、それが絶妙の風味を醸し出す。6/5

 

自民党推薦の憲法学者が、「今回の安保法制は憲法違反である」と決めつけた。なあんだ、自民党違憲であると認めていたんだ。それにしても人騒がせな連中だな。早速明日から国会をお開きにして、ちょっと早いけど夏休みに入ってもいいぞ。6/5

 

ミカドとその一族が私に対してニル・アドミラリであるように、私は彼らに対してニル・アドミラリである。6/6

 

「肌の色がいかにちがっていようと、目の色が、髪の色が、鼻の高さがどのように異なっていようと、人間はただひとつの種なのじゃ。でなければ、混血児が子どもを生めるはずがない」井上ひさし「黄色い鼠」6/7

 

国会で集団自衛権憲法違反だと決めつけた憲法学者たちも、憲法9条は非現実的だから無きものにせよという意見らしい。歪んだ現実を正すものは、いっけん非現実的と思える強烈な夢と理想であることが、君たちには分かっていないらしいね。6/9

 

読売新聞は、ぶれの少ない立派な新聞だ。戦前は朝日毎日と同様イケイケ大政翼賛超右翼新聞だったが、敗戦後ちょっとだけ過激な左翼新聞に転向しただけで、たちまち元通りの立派な政権太鼓持ちウルトラ右翼紙に戻った。6/9

 

憲法前文は激動する現実にいつでも原基的に対応している。居丈高に亢進する中国や北朝鮮の武力主義に対しても「目には目を、歯には歯を」で対応することを拒否して、いつでもどこでも「丸腰という武器」で沈着冷静に対抗せよと言うておるのだ。6/10

 

対抗出来る最終兵器は、我が国の更なる武装ではなく「完全丸腰主義」であり、相互に最終的な平和をもたらそうとする「絶対平和への意志」である。

 

「花の名には秘密がある。花の名は花の名を教えてくれた人をけっして忘れさせないのだ」長田弘『花の名を教えてくれた人』

 

「得たものでなく、失ったものの総量が、人の人生と呼ばれるもののたぶん全部なのではないだろうか」長田弘『空色の街を歩く』

 

「それからは、いつも考えるようになった。ほんとうに意味のあるものは、ありふれた、何でもないものだと。すべて小さなものは偉大だと」長田弘『猫のボブ』

 

「習慣が、わたしのパトリアだ。思想は楊言のうちにない。行蔵のうちにしかない。長田弘『the most precious thing』

 

「めぐりくる季節は何をも裏切らない。何をも裏切らないのが、希望の本質だ」長田弘賀茂川の葵橋の上で』

 

「春宵、人の一生は行路ではないと、長い帰路だったと、ふかく感じる。」長田弘良寛さんと桃の花と夜の粥』

 

「もしも誰かに、平和とは何か訊かれたら、秋のうつくしさ、と答えたい。かけら(Piece)と平和(Peace)とは、同じなのである。長田弘『いちばん静かな秋』

 

「きみはまず風景を慈しめよ。すべては、それからだ。」長田弘『奇跡』

 

茶の間で家族と団欒しながら煙草をスパスパふかしている奴は、緩慢に自殺しながら間接的に家族を殺しているのだ。6/18

 

関ヶ原以降、毛利家の侍たちとその子孫は、徳川幕府のある東側に足を向けて寝ていたが、この激烈な恨みが明治維新をもたらした、といっても過言ではない。6/18

 

ガビチョウよ、お前は己の美声をひけらかしている。ガビチョウよ、黙れ。お前はもう歌うな。6/18

 

他の人物よりましだからヒトラーを選んだドイツ人のように、全国の学友諸君も、まだアべシンゾウを他よりましな宰相だと思っているのだろうか。6/24

 

たった95日の延長だって。冗談じゃない。国会は永久に開きっぱなしにして、議員抜きで戦争法案を徹底的に全国民討議しようではないか。6/24

 

我が国の最も重要な安保問題、それは集団自衛権やら戦争法案云々ではなく少子化対策である。両親が少なくとも2人以上の子供を再生産できない国に、いかなる未来も安全保障体制もありはしない。6/24

 

いつか坂本龍一が「私は最近なんとか思い通りに音楽をつくることができるようになりました」と語るのをきいて羨ましく思ったが、最近私も、もしかしたらそれを詩でやれるようになるのではないかという気がしてきた。6/26

 

 

  沖縄の民草の服に身を包み隠れ蓑にした三十二軍兵士 蝶人