蝶人戯画録

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三谷幸喜監督・脚本の「ザ・マジックアワー」をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.864

 

 

 才人三谷は映画でもいい作品を作ってきたが、最初期に比べるとだんだん質が低下してきたような気がする。最新版の「清州会議」でもそうだったが、役者の数や物語の材料をバンバン詰め込むので渋滞した道路のように見通しと運行が滞り、てんでスピードがでない。

 

 いい映画を作るにはできるだけ素材を精選してドラマの焦点をくっきりとあぶりだす技術が必要だと思うが、この作品全体が役者の出入りの説明板のようになってしまい、すべてがちまちました予定調和の小世界に入りこんでしまってどこにもマジックなんかないのである。

 

 こんな体たらくでは次のNHKの大河ドラマの脚本も期待できそうにないな。

 

 

    古の人に我あれや国会の強行採決を見れば悲しき 蝶人