Evgeny Kissin The Complete Concerto Recordingsを聴いて
音楽千夜一夜第344 回
優れた技巧と鋭い感性を兼ね備えたキーシンは、好きなピアニストだ。
昔から日本ではテクニック一辺倒の阿呆莫迦叩きピアノボーイというような評価だったが、私の中でそのキャッチフレーズにもろ該当するのは、ランランとかユジャ・ワンのような若き肉欲系中国人ピアニストで、今までこういう連中の演奏をいいと思ったことは一度もない。
このお馴染みSONYの廉価版4枚組のCDでは、ベートーヴェンの2番と5番、ラフマニノフの2番と3番、モザールの12番と20番、ハイドンの二短調、シューマンの協奏曲などが聴けるが、いずれも悪くない。
伴奏はスピヴァコフ、ジュリーニ、レヴァイン、小澤、ゲルギエフなどであるが、私の嫌いな小澤も伴奏ならなんら破綻なくキーシンのお相手を務めている。
それにしてもこういう有名曲の中でたまにハイドンを聴くと、他の多くの作曲家がみな餓鬼大将のようにみえてしまうのはなんでだろうか。
中国の肉食系のバリバリの弾いて弾いて弾きまくる玩具のピアノ 蝶人