蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

アラン・レネ監督の「風にそよぐ草」をみて

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.878

 

 

 昨年91歳で亡くなった偉大な監督の最後から3番目の作品ずら。

 

 よくあるといえばよくある大人の男女の恋が題材になっているのだが、それを扱う手つきがいかにも軽妙で、人世というものを、映画というものを楽しみ、いとおしむような気持ちがワンカット、ワンカットの編集の隅々にまでしみわたっていて、これこそが偉大な芸術家であり職人でもあるシネアストが、かのエリック・ロメール共々ついに到達した無二の境地ではないか、と思わるれ。

 

 原題の「 Les Herbes folles」は1963年の「Le Feu follet 」と1対をなすつもりでつけられたタイトルのような気もするのだが、はてどうであろうか。

 

 本編で繰り広げられる狂気のようなラブロマンスも見ごたえ十分であるが、いきなり歩道の上の葉っぱのアップから物語を始めたり、恋する男女が接吻したところで仮のエンド・マークを出したり、ヒロインの趣味が英国の戦闘機スピットファイアの操縦であったり、随所で散見されるさりげない道草もまことにチャーミングずら。

 

 

   甲子園で勝たせたきは公立校それもできたら初出場の 蝶人