蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2015年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

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ある晴れた日に 第331回 

 

 

コンビニに三浦西瓜がわんさか並び湘南の地に盛夏来たれり

 

吾輩は今日もはよから熱帯の和風リゾートに滞在ちう

 

由比ヶ浜ジュリア・ロバーツ似の魚が三匹泳いでいました

 

鎌倉の由比ヶ浜沖でこんにちは赤きイルカに乗りし少女よ

 

鎌倉の由比ヶ浜で戯れる半世紀前の僕たち君たち

 

甲子園で勝たせたきは公立校それもできたら初出場の

 

武者人形のやうな顔した早実の清宮選手がホームランを打つ

 

ほらご覧あれに見ゆるは兼好法師「能ある人は無能になるべし」とぞ

 

断言をすればするほど引いてゆく潮の流れを人の心を知らぬ宰相

 

図書館で予約していた「明治天皇伝」取り忘れたがそれもよかろう

 

四方の海みなはらからと思ふ世になど戦争法案上程するらむ

 

ゆくゆくは天皇になるてふ八歳の少年が観たとふ昆虫映画

 

「絶対に断じてまったくいささかも戦争なんてありえないのであるんであるん」

 

戦争が起これば由比ヶ浜ホンダワラを採って朝比奈峠に逃げよう

 

戦好きの猪八戒が履くといふ切れ目なき十のパンスト破りて捨ててよ

 

誰かさんの振り付け通りに歌い踊るAKB自公の阿呆ずらを見よ

 

違憲なり戦争法案撤回せよ」サメザメと泣きながら訴える三十匹のサメ

 

猪八戒に賛成はしないが反対もしなかったそんな三蔵法師が招く戦争

 

ああウナジロウウナジロウよ!行方不明の天然ウナギをその名で呼びにけり

 

暗闇にウナジロウの名を呼ぶ暑さかな

 

「一頭」と誰に呼ばれん蜆蝶

 

宰相が憲法破る葉月かな

 

蝉の声ひときわ高し敗戦日

 

原爆忌黙祷をしてさてどうする

 

一分の黙祷の後どうするんだ

 

カンナ咲くイデオロギーに違いあり

 

クマゼミの姿は見えず空に雲

 

真夜中にミンミンゼミが鳴いている妻が欲しいと泣いている

 

蝶よりも蛾を低く見るそのこころ人種差別のはじまりなるか

 

三年ぶりに真夏の午後に聴きました吉田秀和「音楽のたのしみ」

 

中国の肉食系のバリバリの弾いて弾いて弾きまくるピアノは玩具

 

「ウィーンの三羽鴉」なぞといわれつつ尾羽打ち枯らす鴉もあるさ

 

猛烈な暑さを押し返さんと繰り返し聴くブルックナー交響曲第8番

 

わが心飛べ遥かなる宇宙の彼方へブルックナーが見た神と会うべく

 

社会の窓を開けたままにする車谷長吉妙な奴だと思いしがいつのまにか自分でもしておる

 

葉山町一色の県道を歩いていた23歳の女子大生を轢き殺した20歳の会社員

 

世の中はなかなかうまいこといかんのお 残念、残念、残念じゃった 

 

国会を全日本を埋め尽くす安倍打倒違憲戦争法案反対の声 

 

 

   「今月はもうお休みはありません」鎌倉市立中央図書館 蝶人

 

         長男の浮輪潰して葉月尽 蝶人