蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

映画漫評ずら

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.895、896、897、898、899

 

 

ジョン・リー・ハンコック監督の「しあわせの隠れ場所」をみて

 

超富裕層の白人夫妻が超貧乏人最下層の黒人を救済する間にじんかんのほんとうの幸福について思い当たる機会を得、あまつさえその黒人がプロフットボールの有名選手となって花も実もある人世をかちとるという実話の美談映画。

 

部屋とベッドを与えられた黒人が「生まれて初めてです」と感激するのでサンドラ・ブロックが「自分の部屋は初めてだったのね」と聞くと「いいえ、ベッドが」の答えに衝撃を受ける。

 

そういえば私も中学生までは共同部屋のミカン箱の前しか自分の場所はなかった。

 

 

ブレット・ラトナー監督の「ラッシュアワー」「ラッシュアワー2」をみて

 

 香港の刑事ジャキー・チェンがLAの黒人警官クリス・タッカーと組んで誘拐事件に取り組む漫画的活劇であるが、チェンよりもクリス・タッカーのほうに勢いがあり、楽しみながら演技している。

 

 ハリウッドに進出したチェンはこの映画のヒットで大儲けしたらしいが、香港時代の彼のほうがずっと面白かった。

 

 続編の「ラッシュアワー2」でもその傾向はますます露わになり、迫力のないチェンは女の子にあっけなくやっつけられたりしてその頽勢は覆うべくもない。香港の中国返還で意気消沈しているのかしらん。

 

○ローリン・スカフェリア監督の「エンド・オブ・ザ・ワールド」をみて

 

2012年アメリカ制作のSF映画。見たばかりなのにもうあらかた忘れてしまったが、小惑星が地球にぶつかって人類が滅亡することになり、各人が思い思いの最期の日を迎えるといういかにもありそうな悲愴な噺ずら。この主人公は素敵な女性を死土産にすることが私はそういう僥倖に恵まれずに孤独に死ぬほかなかった大多数の地球人のほうに心が移る。


○ブレク・アイズナー監督の「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」をみて

 

大山鳴動して鼠一匹みたいな映画で疲れる。それにしてもペネロペ・クルーズといういかにもな姉ちゃんは、男好きのする顔立ちだな。

 

 

9月3日午後3時ごろ浄明寺郵便局辺り30代の小太りの男が全裸で歩いていたと云う 蝶人