蝶人戯画録

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西部劇2本立ずら 

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.934、935

 

 

ジョン・フォード監督の「モホークの太鼓」をみて

 

1939年製作の「カラー」映画ずら。

 

西部開拓時代の若い夫婦、ヘンリー・フォンダクローデット・コルベールが助け合いながら逞しく生き抜いていく愛と冒険と感動の物語だが、そのなかにはもちろん先住民との命懸けの戦闘が含まれており、その先住民に対するいわれなき差別と偏見も内蔵されてはいるのだが、

 

どういうわけか編集の切れ味が鋭いために若い2人への熱い感情移入が行われてゆくのは摩訶不思議な映像体験で、これらは結局ジョン・フォードが撮って来たフィルムを自分勝手に切り刻んだ横暴で独裁的な大プロデューサー、ダリル・F・ザナックのなせる業だろう。

 

 

アーサー・ペン監督の「小さな巨人」をみて

 

アメリカ人と先住民の間を行ったり帰ったりする主人公、そしてこの映画の存在はきわめてユニークで、これまで見たことがなかった。そのほとんどが先住民に誘拐された白人が土着民化されてそれっきりだったが、この映画の主人公はそのどちらにも嵌りきらない第3のポジションにあって、しかも激しく交通している。

 

 それにしてもカスター将軍とその配下の騎兵隊は先住民の女子供まで根こそぎ殺戮する凶悪な連中だったらしいが、その潜在化複合観念はいまなお北米大陸に生きる白人連中のどこかで生き延びているのだろう。

 

ダスティン・ホフマンと「今日は死ぬにはいい日だ」といってかっこ良く死ぬはずだった部族の長老「温かい水」の親子のような情愛が美しい。

 

 

 西部劇の嫌いな人は読んだりコメントしたりしないでくださいな私の下らぬ感想文に 蝶人