蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2015年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧

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ある晴れた日に 第339回

 

 

お土産はすぐき八橋五色豆何回行っても京都旅行は

 

仙人草も薄も怨んでいるだろう草刈り爺さんに全部刈られて

 

ハロウィンなるかぼちゃ祭りを持て囃す軽佻浮薄な日本人かな

 

死ね死ね死ね手前こそ死ね死ね死ね死ね今日も吠えてる平成死のう団

 

小池選の歌壇あるゆえ購読する読者もあると知れよ読売

 

世のために人のために研究するまだこの国にこんな人がいたんだ

 

勝ち戦さにインテリゲンちゃんのぼせ上がる玩具を貰いし子供のごとく

 

蝶の影濃くなりゆきて九月尽

 

谷戸の電柱の上に鎮座して我らを統べる1羽の鳶

 

「犯人はアジア系」というときに日本人は入っているのかいないのか

 

イチローに安打が出ないと暗くなる私もアメリカと戦っているんだ

 

成形はできればしないほうがよし芸能人も一般人も

 

道端に転がっていた栗の実が今夜のわが家の御馳走となる

 

最悪の政府が笛吹く「総活躍音頭」いったい誰が踊るというのか

 

一億が総活躍で総下流総白痴となりて総玉砕ずら

 

スピーカー、CDプレーヤー、PCディスプレイ次々壊れる神無月ずら

 

なにゆえにオトマール・スウィトナーとベルリン国立管は待たされた「魔笛」の場面展開が遅いので

 

いかにして二十尺の糸を張り渡す私が蜘蛛でも出来るだろうか? 

 

何者にも裏打ちされない妄念を君はいつまで歌っているんだ

 

富裕層というものが宝籤に当たれば誰でもなれるものであればいいのだけれど

 

天才は若死にするが鈍才はしぶとく生きる悔やんで生きる

 

西部劇の嫌いな人は読んだりコメントしたりしないでくださいな私の下らぬ感想文に

 

マカ不思議有名人物の名さえついてればただの紙切れが札束に化ける

 

木が沈み石が浮きグレン・グールドのように叫ぶ日がやって来た

 

「勝手にしろ」その悪魔のごとき一言で地獄の淵へ追いやられし人

 

外出の時は新しい肌着を身につけるいつどこで何があるか分からないので

 

生協へ行きて百三十八円のシャケ五切れ買うほどの贅沢

 

満場にブラボーの嵐が吹き荒れるなかどこかで誰かがブーと呟く

 

仕事無く蓄えは無く扶養者ありて我は哀しき下流老人

 

かくなるうえは「あの人まだ生きているの」と言われるほどの爺になってやる

 

 

    彼岸花イデオロギーには毒がある 蝶人