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蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

クラウディオ・アバドの独グラモフォン交響曲全集を聴いて

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音楽千夜一夜第351回

 

 

 ついこないだ亡くなったばかりの指揮者を偲んで全41枚のCDを聴いてみました。

 

 収められているのは順番にモーツアルトハイドンベートーヴェンメンデルスゾーンブラームスブルックナーマーラーで一番多いのは彼がシェフをつとめたベルリンフィルですが、晩年のルツエルン祝祭管の演奏もあります。

 

 いずれもいかにもアバドらしい「清新にしてクールな」アプローチが耳に残りますが、いつ聴いても心が洗われるのはモザールの演奏で、惜しまれつつもあっさり解散してしまったモーツアルト管弦楽団との後期交響曲集は、私の生涯の宝物となりました。

 

 彼が下馬評の高かったロリン・マゼールバレンボイムをい退け、カラヤンの跡目を相続したきっけとなったのは、ブラームスの難曲である交響曲第2番の熱演でしたが、この選集ではベルリンフィルマーラー室内管による2つのセレナードが入っていて、4つのシンフォニーに劣らぬ秀演を聴かせてくれます。

 

 カラヤンの跡を継いだものの長く不振が続いたアバドでしたが、その低迷を脱した記念碑的な演奏が、ベルリン最末期のベートーヴェンの全曲演奏。その大半がローマでのライヴで(まず映像でリリースされました)、例えば2番、7番などを聴くと別人28号のような精気が漲っており、どうしてもっとシェフを続けなかったのかと思うくらいです。

 

 彼の理知的なマーラーは既に高い声望を集めていますが、どうしても忘れられないのはロンドン響と入れたメンデルスゾーンの全曲で、スコットランドなどの調べを聴いているとやはり胸が高鳴るのはこれがアバドの青春の輝きの歌だったからでしょうね。

 

  2000ポイントのおまけがついたのに知らずに買った恨みは深い 蝶人