十一月の歌
ある晴れた日に 第347回
朝から晩まで風が吹き
ムクロジの葉っぱが落ちる
実も落ちる
太郎には太郎柿、次郎には次郎柿、
宮部みゆきには太郎次郎柿
ゲゲゲの鬼太郎には輝太郎たもれ
和泉式部には越前柿
熟熟熟柿は柿右衛門にたもれ
早秋柿、新秋柿、愛秋豊
伊豆柿、陽豊柿、天王柿
平核無柿、蓮台寺柿
鳥も喰えない祇園坊
老い先短い鴉には老鴉柿たもれ
見よ大木家の塀の上
棘で固めた柊の
白き小さな花馨る
佐々木小次郎には夕紅柿、
紀の川柿、刀根早生柿、西条柿
富士柿、鶴の子柿、四ツ溝柿
トンビは瞑想に耽ってる
山頭火には市田柿
庄内、八珍、おけさ、まっくろ黒柿
とっておきの渋渋渋柿三百個
超腹黒い安倍蚤糞へたもれ
朝から晩まで風が吹き
ムクロジの葉っぱが落ちる
実も落ちる
美味そうな柿がいっぱいなっている鳥が寄らぬは渋柿のあかし 蝶人