蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

村上春樹著「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読んで

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照る日曇る日第838回

 

 ボストン、アイスランド、2か所のポートランド、ミコノス島、。NY、フィンランド、ルアンプラバン、トスカナ、熊本などを巡るムラカミ選手。

 

 小説と違ってかなりリラックスして書かれた世界あちこち旅行の感想文集ずら。

 

 フィンランドヘルシンキ市内にあるカウリマス監督兄弟が経営する名物バー(モットーは「冷たいサービスと温かいビール」)「カフェ・モスクワ」を訪れたときのいかにもカウリマス的な(つまり店には奇妙なカップルがいるだけでいつまで経っても店員は現われない)結末が面白い。

 

 

 ラオスのホテルで呪術師たちが演奏するガムラン音楽のマカ不思議さ、魔術性の描写も音楽に強いムラカミ選手らしいものがあった。

 

 熊本における漱石最後の下宿の訪問記と写真も良かったが、スタイリストの吉本由美選手はどうして郷里の熊本に戻ったのかしら。妙に気になります。

 

 それにしてもいかにも売れそうなエグいタイトルをつけるもんだ。

 

 

  大阪の心斎橋の大丸の無人の売り場で服売りしあの頃 蝶人