蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ヘンデルの「オペラ・コレクション」を聴いて


♪音楽千夜一夜 第226回

大廉価メーカーのソニーグループが傘下レーベルを総動員して編んだヘンデルの偉大なオペラを2週間ほどで聴き終えました。

この「音楽の母」には全部で40曲以上のオペラがあるようですが、そのうちの比較的ポピュラーな8曲、すなわちリナルド、ジューリオ・チエーザレ、タメルラーノロデリンダ、アレッサンンドロ、ロターリオ、パルテーノペ、セルセをジャン・クロード・マルゴワール指揮王室大厩舎・王宮付楽団、ジュリアス・ルーデル指揮ニューヨーク市オペラ管、ミハエル・シュナーダー指揮ラ・スタジヨーネ、クイケン指揮ラ・プチットバンド、アラン・カーチス指揮イル・コンプレッソ・バロッコでくいくいと聴かせてくれる素敵な22枚組CDセットです。

80年代初頭のサンフランシスコでは、ヘンデルのオペラに初めて接したというバークレー校の大学生が、オペラハウスで興奮しながら「これは誰の作品か」と東洋人の私に尋ねたくらいマイナーな存在でしたが、今では世界中でライブが興行されて多くの聴衆を集めるようになり同慶に堪えません。

どの曲も演奏も録音もすぐれていますが、とびきり新鮮なのはマルゴワール指揮王室大厩舎で、古楽器ながら現代的センスと解釈で、いつまでも私のロバの耳を惹きつけてやまないのでした。


狭き庭に巨大な棕櫚を植えし人 蝶人