2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧
ある晴れた日に 第76回 藤多き里に住みたる嬉しさよいざ行かん蛍舞う橋の袂まで君とふたり蛍見にゆく夏の夜妻とふたり蛍見にゆくうれしさよ手のひらを返すがごとく生きておりホトトギス特許許可局と鳴きにけり春蘭が咲いていたのはこの辺りルリシジミ両手に…
茫洋広告戯評第12回最近の携帯通信会社の決算を見ると伸び率ではソフトバンクがダントツで、次が老舗のドコモ、ひと頃元気だったKDDIが伸び悩んでいるようですが、3社の広告キャンペーンもおおかたはそれらの業績を反映しているような気がします。広告…
照る日曇る日 第351回なにやら奇妙なタイトルに惹かれて読みだしましたら「路上」のジャック・ケルアックと「裸のランチ」のウィリアム・バロウズの、いずれも無名時代の小説だったのでちと驚きました。この題名は当時どこかの動物園だかサーカスだかが火…
音楽千夜一夜 第145夜ようやくハイドンの弦楽四重奏曲の全曲を22枚のCD(@347円)で聴き終わりました。この偉業を1970年代にはじめて達成した英国のエオリアンカルテットの演奏です。私はたまにはラサールやアルバンベルクなどの鋭角的なカル…
音楽千夜一夜 第144夜 毎度おなじみの千夜一夜でげす。そういえばこないだ久しぶりにモツアルトの「魔笛」を視聴しましたが、やはり古今東西無敵の名曲でやす。演奏はジェームズ・レヴァイン指揮のメトロポリタン歌劇場管弦楽団。1991年11月の公演…
音楽千夜一夜 第143夜2008年9月にデッカから発売されたピアノによる演奏大全集をようやく聞き終わりました。例によってついつい1枚180円という廉価につられて買ってしまったのですが、これはどれをとっても聞き逃せない名盤揃いで、さきの35枚…
bowyow megalomania theater vol.1ゲッ、ゲッ、ゲエーとぜんぶの穴から出しちゃいました。そして泣きました。こわかったのです。頭が痛い。もういやだ。僕は女のひとに汚されてしまった。僕は女のひとは、いやです。なにされるか分からない。乙姫なんて大き…
照る日曇る日 第350回アメリカの作家レーモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」という短編集を読んだ時、それが当時の「ニューヨーカー」の辣腕編集者ゴードン・リッシュによって原文のおよそ半分がカットされ、残された部分も徹底…
bowyow megalomania theater vol.1 そう、そう、そう、そう、結構やるじゃんこの子。あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あん、ぐんぐぐぐぐぐぐーん、アッハ、アッハ、アッハ、アッハ、ア、いいいいいいいいいいーーーーーーーーーい。 おーし、こんどはそっち…
バガテルop126 明治の短詩型文学の豪傑、正岡子規のうたが好きな私ですが、とりわけ 毎年よ彼岸の入りに寒いのは六月を奇麗な風の吹くことよいくたびも雪の深さを尋ねけり のように、あまり頭でひねくったところのない、平凡な、いわゆる月並みの句を好み…
照る日曇る日 第349回 藤枝の大井川周辺の河口と原っぱと集落と海と空を舞台にし、明治、大正、昭和の大戦期を貫き、祖父母、父母、息子夫婦三代にわたって連綿と繰り広げられる紅林家の物語は、確かにその題材を作者の一族とその周辺からとられているも…
茫洋物見遊山記第33回私がはじめて見た高木こずえの作品は、昔活躍した陰湿な歌うたいデュオ「ウインク」をもっと美人に、もっとカジュアルに、ぐんと若くした2人の少女の笑顔をツインセットにして並べたポスターでしたが、問答無用の明るく楽しい青春の…
音楽千夜一夜 第142夜お馴染み独ドキュメント盤によるたった1000円のドビュツシイ・コレクションですが、その内容はモントー、マルケビッチ、アンセルメ指揮による管弦楽の名品「海」、「牧神の午後への前奏曲」やホロビッツ。コルトー、ギーゼキング…
音楽千夜一夜 第141夜 1989年4月にミラノ・スカラ座で行われたライブです。序曲の棒が普段より早いのか世界一のオーケストラも、珍しやついて行くのが精いっぱいになりますが、幕が上がると次第にいつものペースを取り戻し、2幕のフィナーレでは大…
茫洋物見遊山記第32回&勝手に建築観光38回古典派の画家とは違って、印象派の画家たちは、目前の事物を心眼でとらえても、そのまま写生することはありません。心眼に映じた風物の心象を白い画布の上に投影しながら、とりあえずは事物をその構成要素に解…
音楽千夜一夜 第140夜フィッシャー・ディースカウで思い出すのは、彼が吉田秀和翁と一緒のタクシーに乗り合わせたときの逸話です。そのタクシーのラジオからはちょうどクラシック音楽が流れていたので、まだ若き日の吉田翁が、「ベートーヴェンのピアノ協…
照る日曇る日 第348回私の郷里の実家には犬養毅や西郷隆盛、新島襄、賀川豊彦などの揮毫を扁額にしたものが長押の上に掲げてありました。南洲の「敬天愛人」はもちろん偽作ですが、やたら安易に健筆をふるった木堂に詩魂なく、襄にプロスタントの矜持あれ…
照る日曇る日第347回かつて「隠された十字架」で法隆寺は藤原不比等によって聖徳太子の怨霊を鎮魂するために再建されたと説き、「水底の歌」では柿本人麻呂は不比等によって石見の国で水死させられて怨霊となった、と説いた著者が、今度は出雲の国を訪ね…
茫洋物見遊山記第31回すでに6月の6日に終わってしまいましたが、東京工芸大学・中野キャンパスで開催されていた「写真家と静物との対話」展を足早に見物していたのでした。 写真と私の初めての出会いは「日光写真」でした。いつ差してくるかわからない光…
♪音楽千夜一夜 第139夜バルビローリといえば亡くなった三浦淳史という北国の音楽評論家を思い出します。こよなく英国音楽を愛した彼は、私にバルビローリやビーチャム卿が指揮するディーリアスやエルガーの音楽、そしてデニスブレインのホルンやジャクリ…
♪音楽千夜一夜 第138夜 原作が想定する物語の時代や空間に従わず、恣意的なTPOを任意に設定し、物語の書き換えを図ろうとするオペラの新演出がいつごろから始まったのかは分かりませんが、少なくとも私がその「新しい演出」に接して驚いたのはこのレー…
茫洋物見遊山記第30回&鎌倉ちょっと不思議な物語第222回 しばらく前に細君と一緒に名物の筍を見に報国寺を訪ねました。竹寺として知られるこのお寺は建武元年1334年に天岸慧広の開山、足利家時を開基として開かれ、当時の寺領は5キロ先の衣張山に…
♪音楽千夜一夜 第137夜昨日に続いてやはり定評のあるコンビによる70年代のベートーヴェン演奏です。「運命」は1977年9月にウイーン・コンツエルトハウスで、「田園」は翌78年11月にムジークフェラインザールで行われたライブを収録しており、…
♪音楽千夜一夜 第136夜ともかく早くレーザーディスクをD?Dに焼いておかないと2012年のデジタル態勢に乗り遅れてしまうので、数百枚あるLDを見直しながらダビングせざるを得ない消耗な毎日です。という次第でバーンスタイン、ウイーン、マーラーの…
♪音楽千夜一夜第135回 ウテ・レンパーは1963年ドイツ・ミュンスター生まれの美貌の歌姫です。キャッツやキャバレーやシカゴなどのミュージカル歌手としてつとに有名ですが、1994年にパリのブフ・デユ・ノールでライブ収録されたこのクルト・ワイ…
♪音楽千夜一夜第134回クララ・ハスキル(1895-1960)はどこか魔法使いのおばあさんに似たやさしい風貌の持ち主でしたが、そのモーツアルトの演奏ではつとに定評があるところです。この10枚組のCDにはそのモーツアルトの13番、19番、20番、ゲザ…
バガテルop125今年も滑川に蛍の季節が訪れました。2010年の初見は5月28日の午後7時30分、小さな竹橋の上流で2匹が舞っておりました。ちなみに昨年は5月21日に1匹、おととしは6月4日になんと7匹の乱舞、その前年の2007年は6月2日…
茫洋物見遊山記第29回&鎌倉ちょっと不思議な物語第220回このお寺の歴史は鎌倉幕府の開府よりも古く天平3年(731年)にさかのぼります。まず当時関東地方を行脚していた行基がこの地に観音像を安置し、ついでその3年後に光明皇后が本堂を建立した…