蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

西暦2010年卯月茫洋花鳥風月人情紙風船

ある晴れた日に第75回 くねくねと走るキャメラはわが腸の白きポリープを探り当てたりうねうねと突き進んだる内視鏡わが白きポリープをズキンとちょんぎる下腹にズンとくる衝撃と共に断ち切られたるわが白きポリープ目の前のモニター画面の真ん中で断ち切ら…

梟が鳴く森で 第1部うつろい 第42回

bowyow megalomania theater vol.1 10月18日 晴私、フリープラン、田中美奈子。満期養老保険。きちんと、乗りなさい。いいよ、遣り直し。洋子ちゃん、どうしたの。何、暴れているの。長島先生に、顔をぶたれたの。洋子ちゃん、エーン、エーン、エーン。…

梟が鳴く森で 第1部うつろい 第41回

bowyow megalomania theater vol.1 10月17日 雨一番ホーム、電車が参ります。一番ホーム、電車が参ります。次は高座渋谷に止まります。危険ですから、白線の内側迄下がってお待ちください。お客様にお願い致します。発車間際の駆け込み乗車は危険です。…

梟が鳴く森で 第1部うつろい 第40回

bowyow megalomania theater vol.1 みんなが笑うので、僕も笑いました。ギャハハと笑ってしまいました。お父さんが真面目くさった顔をするといつも笑いだしてしまうのです。きっと脳のせいです。頭の中がそういう風になっているのに誰も分かってくれません。…

川西政明著「新・日本文壇史第1巻」を読んで

照る日曇る日第339回伊藤整の日本文壇史を引き継いで川西版の第1弾が、大正5年12月の「漱石の死」のシーンから始まりました。冒頭の「明治という時代を生きた文豪夏目漱石は、今、死の床についていた」という格調高い1行は、大正の作家たちや昭和文…

演劇集団円公演「ホームカミング」を見て

茫洋物見遊山記第22回 わいらあこないだ「ホームカミング」ちゅう芝居見ましたんや。ハロルド・ピンターはんが原作、翻訳は小田島雄志、演出・脚色大島也寸の格調高い英国芝居や。出演は山口眞司、石田登星、石住昭彦、吉見一豊、吉澤宙彦、朴王路美はんた…

日経広告研究所編「基礎から学べる広告の総合講座」を読んで

照る日曇る日第338回バガテルop126毎年この本でわが国の広告と広告業界のお勉強をさせてもらっています。2010年版の特色は、1に不況どん底時代の業界の嘆き節と絶望の苦悶。2にインターネットメデアとの阿鼻狂乱風のお付き合いというあたりでし…

文化学園服装博物館で「ヨーロピアン・モード展」を見る

茫洋物見遊山記第21回&ふぁっちょん幻論第59回 18世紀のマリー・アントワネットの時代から1970年代のポスト・シャネルの時代まで、200年の時系列をいっきに通覧する欧州モードのコレクション・ア・ラ・カルトです。これを一瞥していると、それ…

梟が鳴く森で 第1部うつろい 第39回

bowyow megalomania theater vol.1 10月16日 晴れたり曇ったりハッピー・バースデイ、お父さん。ハッピー・バースデイ、お父さん。 と歌いました。みんなで夜ケーキを食べました。鎌倉ベーカリーのショートケーキを食べました。お父さんはすごくうれしそ…

デッカ盤「ヴァイオリン・マスターワークス」を聴いて

♪音楽千夜一夜第129回これはデッカが総力を挙げて取り組んだヴァイオリン演奏CD35枚組セットです。アッカルド、アモワイヤル、ジョシュア・ベル、キョン・チョンファ、アルチュール・グリュミオー、ヘンリク・シェリング、ルジェロ・リッチ、ギドン・…

ハルモニア・ムンディ盤「宗教音楽選集」を聞き流しながら

♪音楽千夜一夜第128回独仏ハルモニア・ムンディレーベルが集めた「宗教音楽コレクション」を仕事の合間に聴きました。(最近どういう風の吹きまわしか春一番とともに突然仕事が舞い込んできてブログ書きこみどころではなくなったのです)ルネ・ヤーコブ指…

ボーザール・トリオの「ハイドンのピアノトリオ全集」を聴いて

♪音楽千夜一夜第127回&バガテルop125ピアノがメナハイム・プレスラー、ヴァイオリンがイシドール・コーエン、チエロがベルナール・グリーンハウスの3人による演奏は、むかしLPで一枚ずつ揃えて大切に聴いた覚えがあるけれど、その後ずっと長い間忘…

ガ行の時代に

ある晴れた日に第74回&茫洋広告戯評第11回 ガ、ギ、グ、ゲ、ゴ。ガツン、ガッツ、ガンガンメール。ギンギラ、ギッチョン、銀色ナツオグングン、グリコ、グーグル、グー。ゲンチャン、ゲンキ、ゲンキン、ゲロゲロ。ゴー、ゴー、ゴー、箪笥にゴン。時代ガタガ…

前田和男著「男はなぜ化粧をしたがるのか」を読んで

照る日曇る日第337回&ふぁっちょん幻論第58回 黄昏迫る平成の御代にあっては、「男のくせに化粧なんて」、と部厚い眉をついついひそめてしまう私ですが、今を去る何十年も若かりし日には自分でヘレンカーチス第2液を美容院から買ってきて会社をずる休…

06ザルツブルク音楽祭ダニエル・ハーディング指揮「ドンジョバンニ」

♪音楽千夜一夜第126回モーツアルトイヤーの記念すべき演奏なのにどうしてこんな技術も経験もない若僧にこの名曲の演奏をゆだねるのかその真意がわかりません。冒頭の序曲の最初の和音のうすっぺらで軽薄な鳴り方を耳にしただけで悪い予感が走り、それは最…

アルトゥール・ルービンシュタインの「ラスト・コンサート」を視聴す

♪音楽千夜一夜第125回 1975年1月15日、アルトゥール・ルービンシュタインは、米国カリフルニア州パサディナのアンバサダー・カレッジでエルサレムの青少年国際文化センターの活動を支援するためにコンサートを行いました。彼はその翌年急に視力が…

高橋慎一郎編「史跡で読む日本の歴史6鎌倉の世界」を読んで

照る日曇る日第337回&鎌倉ちょっと不思議な物語第214回最近の歴史学の世界では、考古学の最新情報を取り入れた複合融合学際的な取り組みが増えてきて喜ばしい限りです。古文書の解読も史跡の解釈も同時代の歴史的遺物なので、同じ研究者が統一的に取…

高橋順子著「一茶の連句」を読んで

照る日曇る日第336回 生涯に約二〇〇〇〇の句を詠んだといわれる小林一茶の「連句」にはじめて光を当て、解釈と鑑賞の道筋をつけた大変な力作です。著者によれば連句とは五七五の長句と七七の短句をつかず離れず交互につなげてゆく共同作品であり、のちに…

岡井隆著「注解する者」を読んで

照る日曇る日第335回「注解する者」と自称する著者は、対象物にいつのまにか寄り添い、書物(おくのほそ道、古事記伝等)や作家・藝術家(ラフカディオ・ハーン、森鴎外、ウイトゲンシュタイン、川村二郎等)や音楽(オネーギンや薔薇の騎士等)や皇族(…

鎌倉文学館で「鎌倉と詩人たち展」を見る

茫洋物見遊山記第21回&鎌倉ちょっと不思議な物語第213回遠くに由比ヶ浜の海を高台から望む当館では4月18日まで「鎌倉と詩人たち ことばを旅する展」が開催されています。収蔵品展鎌倉文人録シリーズの第4回です。今回は島崎藤村、蒲原有明、北原白…

鎌倉国宝館でひな人形展を見る

茫洋物見遊山記第20回&鎌倉ちょっと不思議な物語第212回今年も国宝館恒例のひな人形の陳列が始まりました。(4月4日まで開催)これを眺めていると今年もようやく春になったのだなあ。またひとつ馬齢を加えたのだなあ。わが家の女の児は家内だけだな…