蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

西暦2015年皐月蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に 第310回 モンゴル人Aとモンゴル人Bが戦ってモンゴル人Cが優勝したとさ 錦織が敗れたあとは何事もなかったようになるテニスのニュース報道 五月二十日午前四時わが右腕を刺した今年初めての蚊をバシッっと叩き殺す クレーマーアルツハイマ…

風薫る皐月、チャールズ・ロートンにちなんだ二本の映画なぞいかが?

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.818&819 スタンリー・キューブリック監督の「スパルタカス」をみて 一介の剣闘士カーク・ダグラスが奴隷解放を求めてローマ帝国に果敢な闘争を挑んだ反乱の1幕なり。磔刑に処せられたの主人公が、去りゆく妻ジーン・…

東田直樹著「自閉症の僕が跳びはねる理由」を読んで

照る日曇る日第789回 前作の「あるがままに自閉症です」よりもっと前の時期である中学生時代に書かれた原稿ですが、やはり自閉症という障ぐあいについてその渦中にある著者が自分で記述しています。 たまたま長男が自閉症であったために、私も仕方なくこ…

やくざ映画2本立!!

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.816&817 中島貞夫監督の「日本の首領 野望編」をみて 関東に進出しようとする関西ヤクザの親分佐分利信が政財界にツーカーノ関東グループの親分三船敏郎に敗れるまで。彼らの部下の松方弘樹や菅原文太も哀れな最期を…

一族再会~短歌詩その1 「これでも詩かよ」第140番

ある晴れた日に 第309回 もうええわ、わたしおとうちゃんとこいきたいわというて母身罷りき 蝶人 祖父、小太郎は、「主イエスよ」といいながら琵琶湖ホテルで亡くなった。 祖母、静子は、急を知らせるベルを押しながら亡くなった。 父、精三郎は、お向か…

ラデュ・ミヘイレアニュ監督の「オーケストラ!」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.815 ブレジネフ時代のボリショイ劇場の管弦楽団とその元指揮者、現掃除夫をめぐる“奇跡”を描いた2009年製作のフランス映画です。 最後は30年前にブレジネフの反ユダヤ人政策で、公演中にオケからパージされたユ…

夢は第2の人生である 第25回 

西暦2014年師走蝶人酔生夢死幾百夜 久しぶりに北嶋君と会って、街中をぶらぶら歩きながら私が、「やっぱり10代の女性と100歳の男性がいちばんかっこいいね」とつぶやくと、北嶋君は、「じつはぼくもそう思っていたんだ」と頷いた。12/1 会社を出て…

井上ひさし著「井上ひさし短編中編小説集成第7巻」

照る日曇る日第789回 さきの第6巻に比べて、これはまたなんと天国と地獄のような中身の違いだろう。冒頭の「四捨五入殺人事件」といい「十二人の手紙」といい著者の才能が最大限に発揮された推理小説の傑作ぞろいである。 「四捨五入殺人事件」はアガサ…

坂口弘著「暗黒世紀」を読んで

照る日曇る日第787回 本書はあとがきに書かれているように、2007年「常しへの道」に続く「第2歌集」で、2000年から2007年までに詠まれた短歌334首が収められている。 連合赤軍のあさま山荘事件、山岳ベース事件などで16名を殺戮したと…

山本周五郎著「さぶ」を読んで

照る日曇る日第785回 2人の友人。2人の仲良し。栄二とさぶをめぐる因果の物語。 自己中で他人を押しのけてでもおのれの意志、おのれの主義主張を他に及ぼそうとする栄二と、言いたいことも言えずに奥へ奥へと引っ込んでしまおうとするさぶ。 傲慢と謙虚…

今井義行著「永遠」を読んで

照る日曇る日第784回 本書は著者が34歳のときにふらんす堂というところから刊行された第2詩集で、一読して現在進行中の青春の実存の本質というものをみごとに体現したその完成度の高い語り口に圧倒された。 私だってそれなりに青春時代を雑駁に送り迎…

井上ひさし著「井上ひさし短編中編小説集成第6巻」を読んで

照る日曇る日第783回 「合牢者」「さそりたち」の2冊の既刊に加えて11本の単行本未収録の短編が収められている。ここまでの5冊はそれなりに読み応えのある佳作、秀作がちりばめられていたのであるが、本巻はそのいずれを読んでも前に読んだような気がする…

加藤治郎著「噴水塔」を読んで

照る日曇る日第782回 現代歌壇の中堅として各方面で活躍中の作者が2012年から14年にかけて様々な雑誌や新聞で発表した最新作の集成である。 一読してやはりもっともインパクトが強かったのは、父親の死に際して詠まれたかなり多くの短歌で、 なきが…

高橋源一郎著「動物記」を読んで

照る日曇る日第781回 かのシートン選手の向こうを張るようにして、我らが源チャンが平成版「動物記」をあらわした。 といっても別に「狼王ロボ」や「灰色グマ」がでてくる訳ではない。そのかわりに偏差値が50くらいの私立大学を卒業したパンダさんや、人…

ミラン・クンデラ著「無意味の祝祭」を読んで

照る日曇る日第780回 巴里のリュクサンブール公園を散歩する男たちの群像が、(もちろんその相方の女性との交渉も含め)、できるだけ長くなり過ぎないように抑制された筆致と短さでスケッチされた哲学的短編小説でして、まあ要するに、「人世の本質は無意…

アベマリア~短歌詩その2

「辻征夫詩集」を読んで~照る日曇る日第779回~「これでも詩かよ」第138番 序歌 アベチャンはアベマリアに変身か これぞ驚天動地!これぞコペルニクス的転回! 蝶人 午後7時の記者会見で、我が国の宰相アベチャンが、いつの間にか別人にすり替わって…

小谷野敦著「江藤淳と大江健三郎」を読んで

照る日曇る日第778回 これまで里見、谷崎、久米、川端の浩瀚な伝記をあらわしてきた著者による江藤&大江のなんと“ダブル伝記”であるが、「作品論には踏み込まない」といいつつも、随所で作品と対象者への価値判断を行い、それが期せずして副題が示すよう…

神奈川県立近代美術館鎌倉館で「近代美術館のこれからPART1」をみて

茫洋物見遊山記第178 回&鎌倉ちょっと不思議な物語第340回 本欄で時折報告していた神奈川県立近代美術館鎌倉館の処遇問題であるが、県と鶴岡八幡宮の間で来年3月をもって閉館するという話になったようだ。 だが、これはおかしい。現地調査の結果、地…

神奈川県立近代美術館葉山館で「日韓近代美術家のまなざし」展をみて

茫洋物見遊山記第178 回 大日本帝国が朝鮮を植民地にしていた時代には、藤島武二、小杉放庵、富本憲吉をはじめ数多くの作家が半島へ出かけて絵を描いたり陶器を焼いたりしていたことを迂闊にもはじめて知った。 わが帝国は、彼の地に芸術学校を作って美術…

五味文彦編・現代語訳「吾妻鏡15飢饉と新制」を読んで

照る日曇る日第777回 本巻では正嘉2年(1258)から弘長元年(1261)までを扱っていますが、正元元年(1259)は記事が欠落しています。北条氏にとって具合の悪い事件が起こったのでしょうか。 当時は本書のサブタイトル通りに飢餓が蔓延して、街…

だめよだめだめ~「これでも詩かよ」第137番

ある晴れた日に第308回 だ だ め め よ よ だ め め だ だ め め このままではだめよだめだめだめなのよおいらのくらしもよのなかも 蝶人

ニッポンチャチャチャ~「これでも詩かよ」第136番

ある晴れた日に第307回 ン チ ポ ャ ッ チ ニ ャ ッ チ ポ ャ ン ニ チ ッ ャ ポ チ ン ャ チ チ ャ ャ チ ニ ャ ッ チ ポ ャ ン モモンガアぐららあがあ鼻濁音を絶滅させないためにぐあんばろう 蝶人

二十年はふた昔~蝶人五風十雨録第一回「五月一日」の巻

バガテル-そんな私のここだけの話op.199 1996年5月1日 小雨 降りだす前にムクと熊野神社へ行く。野茂勝って3勝2敗。TBS磯崎社長辞任。反省だけなら猿でもできる。 1997年5月1日 曇、冷 妻に散髪してもらう。ムクと太刀洗へ散歩。藤の花が…

外国映画あれやこれや連休10連発!

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.805、806,807、808、809、810、811、812、813、814 ○ウィリアム・A・ウェルマン監督の「つばさ」をみて 1929年米パラマウント製作の珍しい飛行機野郎の無声映画なり。 敵のドイツ機を乗っ取って欧州の米軍基地に…

日本映画あれやこれや連休7連発!

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.798、799、800、801、802、803、804 ○森一生監督の「悪名波止場」をみて 女どもに金を巻き上げられたりヤクザにつかまって簾巻きにされて殺されそうになったり終始冴えない勝新太郎。 そして親分のピンチを助けようと…

家族の肖像 その6~「これでも詩かよ」第140番

ある晴れた日に第306回 「♪オオレエ、オレ、オレ、オレエ。お父さん、僕歌ったよ」 「何を歌ったの?」 「サッカーの唄だお」 「お母さん、歴史ってなに? 歴史ってなに?」 「それはね、昔何が起こったかっていうことよ。たとえばわが家の歴史はね」 「…

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第22回

西暦2015年卯月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.198 所ジョージって、なかなかいいね。 「農協キャラメル」ほど美味しいキャラメルを私は知らない。4/3 またしてもヤマトは沖縄を「粛々と」絞め殺そうとしている。この抑圧、この暴…

なにゆえに第14回~西暦2015年卯月蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に第305回 なにゆえにうちの奥さんオホホノホ朝から晩まで可笑しいからさ なにゆえにうちの父さんグウグウグウとにかく人世疲れるからさ なにゆえに1枚80円になってしまうのこれまでゴミ捨ては無料だったのに なにゆえに雑巾の絵なんか描…