蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

西暦2012年神無月 蝶人狂歌三昧

ある晴れた日に 第116回 思い出をひとつ殺してまたひとつ生みだしながら今日も過ぎゆく究極の幸せとは人に愛され人に褒められ人の役に立ち必要とされることここで飛べ1969ウッドストック 飛んだ奴らはどこへ行ったか?AKBなんてみな同じ顔しょんべんくさ…

ケビン・サリバン監督の「赤毛のアン 新たなる旅立ち」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.335まだまだ続く赤毛のアンちゃんの物語。これはモンゴメリーのフランチャイズ作品だそうで2008年の製作。仕掛け人のケビン・サリバンがこれまでのお話を引き継いだり新しいネタをでっちあげたりして自分勝手なアンち…

鎌倉交響楽団の「マーラー交響曲第2番」を聴いて

♪音楽千夜一夜 第285回 &鎌倉ちょっと不思議な物語第264回ご当地の鎌響が創立50周年を迎え、その記念すべき第100回の定期演奏会でマーラーの交響曲第2番「復活」を演奏しました。指揮者は2008年11月1日に同じマーラーの第5番のシンフォニーを力…

鎌倉文学館で「源実朝展」を見て

茫洋物見遊山記第94回 & 鎌倉ちょっと不思議な物語第263回 生誕820年を期しての特別展ですが、狭い2つの会場に並んでいるのは太宰治の小説や斎藤茂吉、小林秀雄、吉本隆明などの実朝論の生原稿、それからいわゆる鎌倉文士どもが色紙に書いた実朝の歌くら…

シドニー・ルメット監督の「Q&A」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.334 新米地方検事補のティモシー・ハットンの悪戦苦闘物語でがす。悪役の上司のみならずその上司に使役されている悪辣なブルドック警官ニック・ノルティや同僚、恋人と恋仇に振り回され、挙句に応援を約束していた検察…

リティー・バニュ監督の「さすらう者たちの地」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.333 これは2001年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で最高賞を受賞したフランス映画である。ロンノル政権時代の苦難とその後のポルポト政権による大虐殺に耐えて生き延びたカンボジアの民衆が、全土に敷かれること…

松本健一著「増補出口王仁三郎」を読んで

照る日曇る日第545回寅さん「屹立する最後のカリスマ」なんちって品性下劣な言葉を使うなよ。んで、もう一人のカリスマは天皇の軍隊を農民の革命軍でひっくりけえして国民の国家をでっちあげようとした北一輝だって書いてるけど、それを言うなら、大衆の下衆…

テファン・スケイニ監督の「赤毛のアン アンの結婚」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.332ようやくギルと婚約したアンは、手に手を取ってNYに渡るのですが、ここで彼女が苦労して書きあげた小説が有名作家に盗用されたり、NYの有名病院に就職したギルが上司と衝突したりして、この大都会が嫌になった…

ケビン・サリバン監督の「続・赤毛のアン アンの青春」を観て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.331我らがアンちゃんは心の恋人ギルバートと涙ながらに別れて郷里を出て、エリート一族が占拠するキングスポートの高校の英語教師となるが、そこに待ち構えていたのは冷血動物のような不感症校長とプリングルファミリ…

スティーヴン・ウオーカー監督の「ヤング@ハート」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.33082年にアメリカで結成された超高齢コーラス隊のドキュメンタリー映画。70代から80代、中には90代の老人たちがパンクやロックでシャウトしまくる破天荒の音楽映画である。もともと高齢のうえに癌や肺炎を患…

神宮、熊野、高野山を巡る

茫洋物見遊山記第93回 せんだって長年にわたっての念願であったお伊勢さんに詣でることができました。来年には恒例の式年遷宮が行われると聞き、できればその前にお参りしておきたかったのです。 はじめに訪れた外宮にも増して巨きな樹林に囲まれて神聖の気…

グライドボーン音楽祭のヘンデル「リナルド」を聴いて

♪音楽千夜一夜 第283回最近ヘンデルを古楽器で面白く聴かせる集団が増えてきましたが、これは2011年夏の英国のグライドボーン音楽祭の録画です。オッターヴィオ・ダントーネという指揮者がエイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団を振った公演のライ…

山田和樹指揮オネゲル「火刑台上のジャンヌ・ダルク」を視聴して

♪音楽千夜一夜 第282回 2012年のサイトウ・キネンフェス松本の公演をNHKの衛星放送で視聴しました。このオネゲルのオペラは、以前小澤征爾がこの舞台にかけた時は、曲の物珍しさもあってまあまあ面白いと思ったものでした。(思えばこの人は独墺系の…

ジョン・フォード監督の「三人の名付け親」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.329 サザエ「1948年製作の映画だというのに鮮やかな色彩美にびっくり。砂漠の砂嵐をあんなに奇麗に見せてくれるなんて! 「アラビアのロレンス」のデビット・リーンはこの映画を真似したんじゃないかしら。」マス…

「古井由吉自撰作品七」を読んで

照る日曇る日第544回この巻では、1992年の「楽天記」と2002年の「忿翁」の、いずれも新潮社から刊行された2冊の単行本を収録している。後者の中の短編「枯れし林に」は、葉を落とした冬の雑木林とそれらを構成している楢や欅の厳しい風雨に耐えてい…

高校生になった日

バガテルop160& 鎌倉ちょっと不思議な物語第262回 待てど暮らせどクライアントからの仕事の依頼の電話は鳴らなかったので、久しぶりにバスに乗って駅前まで出かけた。つい先だってまで油蝉が末期の歌をうたっていたのに辻のあちこちで薄の穂が出てすっかり…

大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.328 大島渚はどうもホモセクシャルに敏感に反応する人であるらしく、この作品でもデビッド・ボウイの妖艶さに一目惚れした坂本龍一の心情の揺れが、その後の彼らの運命に大きな影響を与えている。タケシは、個人として…

シドニー・ルメット監督の「十二人の怒れる男」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.327一人の少年の父親殺人疑惑事件の陪審員として呼びだされた年齢も、生まれも育ちも、思想も暮らしもまちまちな12人の市民が繰り広げる密室内の討論劇である。状況証拠から予断に囚われ、はじめはヘンリー・フォン…

ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」を観て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.326アラン・ドロンが思い人マリー・ラフォレに「俺のためにギターを弾いてくれ」と言って、ついに自分の女にするときのアップの壮絶な美しさ! この恐るべき魅力に陥落しない女はまずいないだろう。いろいろな思いが交…

ドナルド・キーン著「正岡子規」を読んで

照る日曇る日第543回 俳句と和歌の革新者である子規を論じた書物は、その大半が熱烈な賛辞と圧倒的な高評価で埋め尽くされているのが通例だが、最近本邦に帰化して新・日本人となられたキーン翁のこのたびの評伝は、けっして贔屓の引き倒しの悪弊に陥らず、…

モウモウ牛さんねんねぐー

ある晴れた日に 第115回 山にはうぐいすホーホケキョ遠いお空に雲ひとつモウモウ牛さんねんねぐー父さん母さんそして僕みんな揃ってねんねぐーアスパラ海を泳いで渡る難儀な夢を見ていますやがて朝寝が終わったらモウモウ牛さんミルクを飲んでしばらくお昼寝…

ケビン・サリバン監督の「赤毛のアン」を観て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.325カナダの女流作家モンゴメリ原作のこの映画を初めて観たのは、確か80年代後半の松竹富士の試写室だったと思うが、はじめからしまいまで涙涙でスクリーンがかすんで試写が終わってもしばらくは席を立てなかったこ…

スティーブン・ソダーバーグ監督の「オーシャンズ11」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.324「オーシャンと11人の仲間」のリメイクだが、全体にとてもお洒落でシックなトーンに仕上がっているのはソダーバーグのファション感覚からだろう。とくにカッコいいのは主演のジュージ・クルーニーだが、ただ一人…

ジョージ・C・ウルフ監督の「最後の初恋」を観て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.323消えたはずだよお富さん。どっこい生きていたアラフォーのダイアン・レインちゃんが70近い色男のリチャード・ギアとロダンテという海際の別荘地でまだまだやるじゃないか大恋愛をするぐあんばれ中年激励映画であ…

トニー・ゴールドウイン監督の「オーバー・ザ・ムーン」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.322ダスティンホフマン製作のサンダンス映画でダイアン・レインがヒロインである。原題は「 A Walk on the Moon 」なのだが妙な邦題をつけたものだ。 ダイアン・レインとかグレタ・スカッキはプロの俳優のくせにどこか…

マイケル・ウオドレー監督の「ウッドストック」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.321 1969年8月15日から17日までおよそ50万人を集めてNY州ベセルで開催された屋外ロックコンサートをライヴ収録した長編ドキュメンタリー映画である。個人で広大な農場を提供した白人の好意あふれるコメン…

クリント・イーストウッド監督の「アウトロー」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.320 平和な生活を送っていた農夫がならず者に妻子を殺され、一転決意して復讐に乗り出す西部劇です。ちょっと拳銃を練習したくらいでどうして突如早撃ちガンマンに変身できるのか謎だが、北軍にまぎれこんだ殺し屋集団…

西村雄一郎著「殉愛 原節子と小津安二郎」を読んで

照る日曇る日第542回家から歩いて10分くらいのところにこの大スタアが住んでいたので、けっしてパパラッチということではなくて散歩がてら浄妙寺まで出かけたものだったが、家内と違ってとうとうその実際のお姿を瞥見することは叶わなかった。小学館の元編集…