蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2012年神無月 蝶人狂歌三昧

kawaiimuku2012-10-31



ある晴れた日に 第116回



思い出をひとつ殺してまたひとつ生みだしながら今日も過ぎゆく

究極の幸せとは人に愛され人に褒められ人の役に立ち必要とされること

ここで飛べ1969ウッドストック 飛んだ奴らはどこへ行ったか?

AKBなんてみな同じ顔しょんべんくさいイモねえちゃんばっかり

国産のゴマダラチョウが中国のアカボシゴマダラに駆逐される関東平野

朝っぱらからオオミズアオの幼虫を4匹も殺してしまって気色悪し

脳内にざわめく嵐御しかねてお父さん大嫌いと喚きだしおり

変にいじくってると死んでしまうでしょ自分の歌が

職業に貴賎はなけれど忌むべきは三百代言投資ファンド

弁護士なんて三百代言金の為なら嘘八百

神仏も天皇陛下も無用ですこの世を私が生き抜くために

ほむべきかな もろびとこぞりて称えよ奇跡の夜 こんな演奏を聴けるとは夢にも思わなかった 生きていて良かった 鎌響よありがとう

ためらいも恥も無く色紙に書きなぐるほんにお前はアホ馬鹿文士 

台風で本社を流されしバスに乗り初日170、2日目250、3日目270キロを走破せり

音楽はこれでいいのだヘンデルのアホ馬鹿音頭に陶然となる

「戦争だあ!」と喚く都知事に石原軍団尖閣出撃

一杯の水の中にいるベートーヴェンを飲む

来る朝ごとにブロックフレーテ練習していた小学生いつしか髭のリーマンになりおおせたる

こういう人が母親なら大丈夫だろうと思っていまの家内と結婚しました

クライアントの仕事待つ身は悲しけり朝から晩まで携帯鳴る待つ

けふこそはクライアントの電話あらんか手ぐすね引いて朝から待ちおり

往年の大スタア次々に逝くめれどわが原節子のみ永遠に生くらむ

掌にスマホ握りしめ若者は異界との交信に夢中である

古井由吉撰集パタリと閉じて思う中年男の妄想の凄まじさ

店員は茶髪を黒にして働けり閉店迫りしガソリンスタンド

Go ahead, Make my day!ドラ猫が三毛猫にいきまく真夏の昼下がり

襤褸襤褸の羽根でなお食草を探すアゲハにとって生とは何か

左側にハンドルを切って墜ちてゆくときの軽いめまいと快感よ

刺青は大嫌いだが入れたけりゃ入れよ猫も杓子も

刺青は大嫌いだけど入れたい人は入れなさいここは自由の国だから

今日もまた時給40円の労働に汗を流す子我が子愛しや

異界との通信に夢中なりスマホ族

秋蝉のとぎれとぎれの叫びかな

今生の思いを歌え秋の蝉

秋雨やガソリンスタンド終業す

秋茄子を一袋百円の有り難さ



*今月の童謡 モウモウ牛さんねんねぐー

山にはうぐいすホーホケキョ

遠いお空に雲ひとつ

モウモウ牛さんねんねぐー

父さん母さんそして僕

みんな揃ってねんねぐー

アスパラ海を泳いで渡る

難儀な夢を見ています

やがて朝寝が終わったら

モウモウ牛さんミルクを飲んで

しばらくお昼寝ねんねぐー

モウモウ牛さんねんねぐー

すると太鼓がドデスカデン 

みんな揃って大行進

大きな音で夢からさめた

山にはカラス クワクワクワ

遠いお空はあかね色

あっと言う間に夕方だあ

モウモウ牛さん霜降り食べて

家族揃って宵寝する

モウモウ牛さんねんねぐー

はてさてこれからどんな夢

夢は第二のじんせいだ

大冒険のはじまりだあ

モウモウ牛さんねんねぐー

夢を見るのに疲れたら

時々起きて居眠りしましょう

モウモウ牛さんねんねぐー



今朝もまた一輪天青の青を偸しむ 蝶人