蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「続続々なにゆえに」~西暦2014年弥生蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に第212回 なにゆえにたやすくデジカメは故障する消費税前に7900円のを買おう なにゆえに中韓の悪口ばかりいう隣の国とは仲良くするべし なにゆえにせっせと大根を栽培する市民のための十二所果樹園なのに なにゆえに人は地獄に落ちるの…

「アルフレッド・コルトー・アニヴァーサリー・エディション40CD」を聴いて

音楽千夜一夜第326回 アルフレッド・コルトー(1877-1962)はサンソン・フランソワ、ディヌ・リパッティ、クララ・ハスキル、遠山慶子、エリク・ハイドシェックなどの素晴らしい名ピアニストを育てましたが、彼自身の演奏は彼の弟子たちのいずれにも似て…

夢は第2の人生である 第10回

西暦2013年神無月蝶人酔生夢死幾百夜 同盟国アメリカの戦闘機のパイロットとの共同作戦が続いていた。私は射撃手に実弾の代わりにプラスティックの弾を渡したのだが、彼はそれに気付かないで撃ちまくっていた。13/10/31 ブルーノ・ガンツに良く似たフィ…

国立劇場で「菅原伝授手習鑑」「處女翫浮名横櫛」をみて

茫洋物見遊山記第147回 竹田出雲作の「菅原伝授手習鑑」では車引、黙阿弥・松浴・千柳作の「處女翫浮名横櫛」では「切られお富」をダイジェストで公演していましたが、私は幸いその千秋楽を鑑賞することができました。 「菅原伝授手習鑑」では桜王丸を中…

クレールの膝~「これでも詩かよ」第72番

ある晴れた日に第211回 安西水丸さんが亡くなった。71歳というのはだいたいそれくらいの年だろうと思っていたので驚かなかったが、それでも死ぬにはまだまだ早すぎたのではないだろうか。 新聞の報道では、西暦2014年3月17日午後2時ごろ鎌倉市…

カリン・クサマ監督の「イーオン・フラックス」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.634 悪性のウイルスによって絶滅寸前に陥った人類を救済しようとするグッドチャイルド兄弟とその兄の元妻であったヒロインを巡る愛と争闘のSF物語です。 物語なんてどうでも良く、日系のカリン・クサマ監督の指示…

無料引き取り~「これでも詩かよ」第71番

ある晴れた日に第210回 セールスの電話ほど嫌なものはない。それもこちらが忙しい時ほど掛ってくるので迷惑だ。そいつが非通知だとなおさら頭にくる。 西暦2014年2月1日、曇天の土曜日の午後2時7分にまたしてもそんな電話がかかって来て、中年の…

池広一夫監督の「沓掛時次郎」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.633 原作は長谷川伸の原作による同名の映画は、何回も何回も映画化されているようだが、私は1961年製作のこの1本だけでもうたくさんだ。 美男子の市川雷蔵が主人公の沓掛時次郎を演じているのだが、さかんに橋…

五味文彦編現代語訳「吾妻鏡14得宗時頼」を読んで

照る日曇る日第665回&鎌倉ちょっと不思議な物語第314回 中世鎌倉は確かに当初は源氏の武家政治の拠点であったが、頼朝、頼家、実朝亡きあとは忽ち北条氏の天下となってしまった。彼らが深謀遠慮で源家を乗っ取り、頼朝の有力な御家人を剥き出しのゲバ…

半藤一利著「日露戦争史3」を読んで

照る日曇る日第664回 クリミアを軍事力行使してまで自国領土に編入したロシアの帝国主義的領土拡張欲は、世紀を越えても変わらないようである。 開戦に消極的だった元老伊藤博文の反対を押し切って、その狂暴な「北方の熊」に文字通り総力を挙げて歯向か…

「鎌倉文学館文学散歩」で北鎌倉を歩いて

茫洋物見遊山記第146回&鎌倉ちょっと不思議な物語第313回 春は名のみの3月中旬に北鎌倉周辺をツアーしました。 まずは円覚寺ですが、私はここへ来るといつも同じ禅宗で塔頭がずらずら立ち並ぶ鎌倉五山の建長寺と見間違えてしまいます。建長寺には私…

2001年~2014年のファッション・トレンドを振り返る その6

ふぁっちょん幻論 第86回 08春夏ミラノコレ=07/9/29開催、環境意識と夢が幸せな共存。 08春夏パリコレ=7日まで。世界への危機感深く反映。 08春夏ミラノ・パリコレ=花、果物、星、カラフルな百花繚乱。春の装い色柄で遊ぶ。サンローラン、バレンシア…

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第6回

西暦2013年霜月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.177 お前の大好きなその国家が、肝心かなめの国民を殺し、返す刀で他国の国民も殺してしまうだろう。12/30 西暦2014年正月。瞬きしかできない身の上になってもなお悪事を働こう…

山本周五郎著「風流太平記」を読んで

照る日曇る日第663回 毎年思うことですが、梅が散って桜が咲くまでの時間はそうとう長い。 この長編小説は昭和27年に四国新聞の夕刊に連載されたらしいが、題名も内容もその媒体にふさわしくのんびりしていていわば春風駘蕩としており、朝寝して宵寝す…

夢は第2の人生である 第9回

西暦2013年長月蝶人酔生夢死幾百夜 詩人の鈴木志郎康さんから、「君の詩はポッドがあるね」と言われたので私は喜んだが、よく考えてみるとポッドの意味が分からない。Podを辞書で引いてみると、「(エンドウなどの)さや」と出ていたので、なるほど俺は…

小津安二郎監督の「彼岸花」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.632&鎌倉ちょっと不思議な物語第312回 小津安二郎の生誕110年を記念して鎌倉駅前の旧公民館で彼の「彼岸花」が上映され超満員の盛況でした。 佐分利信と田中絹代の長女、有馬稲子が手違いから親の許しなしに佐…

「丸谷才一全集第3巻」を読んで

照る日曇る日第662回 長編「たった一人の反乱」を2つの短編「中年」「横しぐれ」がサンドウイッチしたような構成です。 「たった一人の反乱」は、いったい誰が何に対して反乱するのか頭の悪い私には最後まで分からないじつに妙な小説で、通産省から防衛庁…

CRYCRYCRY~「これでも詩かよ」第70番

ある晴れた日に第209回 北朝鮮は暗い CRYCRYCRY 北朝鮮は寂しいんだ だから北朝鮮は叫ぶ CRYCRYCRY! 中国も暗い CRYCRYCRY 中国は寂しいんだ だから中国は叫ぶ CRYCRYCRY! 最近はロシアもアメリカも暗い CRYCRYCRY ロシアもアメリカも寂しいんだ だから…

「丸谷才一全集第1巻」を読んで

照る日曇る日第661回 著者の処女長編「エホバの顔を避けて」を冒頭に据え、後年の中短編「贈り物」「にぎやかな街で」「秘密」「川のない街で」「思想と無思想の間」「男ざかり」を従えた全集の第1巻である。 「エホバの顔を避けて」は旧約聖書の「ヨナ記…

渡辺邦男監督の「忠臣蔵」前後篇をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.630&631 1958年の大映創立18年の記念映画で前後篇2本に当時のオールスタアが総出演している。 渡辺邦男は早撮りで知られる職人だが、テンポが速く人物の出し入れが巧妙でカットつなぎがうまい。この日本…

梅原猛著「元雅の悲劇」を読んで

照る日曇る日第660回 著者による「うつぼ舟」シリーズ最終巻の第5巻は、世阿弥の次男元雅の悲劇に迫る。 室町幕府の将軍義満に愛され義持の庇護を受けて数々の名作を後世に遺した世阿弥父子だったが、甥の音阿弥を贔屓にする義教によって元雅は伊勢の国…

ブルース・リー監督の「ドラゴンへの道」、ロバート・クローズ監督の「燃えよドラゴン」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.628&629 ブルース・リーが監督・脚本・武術指導・主演の4役を務めた作品だが、それらのいずれをとっても酷い出来栄えである。 ローマを舞台にしたリーは、はじめは処女のごとく、おわりは脱兎の如く大活躍する…

ロブ・ライナー監督の「スタンド・バイ・ミー」をみて~「これでも詩かよ」第69番

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.627&ある晴れた日に第208回 鉄橋の上を驀進する機関車は、君を轢き殺そうとしている。 獰猛なドーベルマンは、君のふぐりを噛み切ろうとしている。 ちんけなちんぴらは、ジャックナイフを振りかざして君に迫っ…

鎌倉文学館で「小津安二郎展」、鏑木清方記念美術館で「作品に見る清方の美意識」展をみて

茫洋物見遊山記第145回 &鎌倉ちょっと不思議な物語第311回 冬の鎌倉で2つの展覧会をみました。 ひとつは今年生誕110年を迎えた小津安二郎の回顧展です。 会場には昭和27年から北鎌倉に住み続けたこの名監督ゆかりの遺品がいろいろ陳列されてい…

2001年~2014年のファッション・トレンドを振り返る その5

ふぁっちょん幻論 第85回 07春夏ミラノ・メンズ=エレガンスとスポーツの融合。温暖化でテーラード・ジャケット&ショートパンツの組み合わせ。 07春夏パリ・メンズコレ=07/6-7上旬 上品で軽快。素材・柄・スポーツウエア感覚。ジュンヤ・ワタナベ、ディ…

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第5回

西暦2013年霜月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.176 俳句もショパンも滞空時間が短く、まるで線香花火のように燃え尽きる。ジュジュジュ。11/24 われわれは皆他人の不幸には充分耐えられるだけの強さを持っている。ラ・ロシュフコ…

夢は第2の人生である 第8回

西暦2013年葉月蝶人酔生夢死幾百夜 238)その日の芝居を終えてから、私は今日で役者をやめようと決意した。ホテルを出てから不思議な場所をあちこちさまよった。ホテルに戻ると見知らぬ男が私を待っていて、きいたことのない名前の大学にきてくれといっ…

「ウィーンフィル・シンフォニー・エディション50枚組CD」を聴いて

音楽千夜一夜第325回 1842年に設立されたウィーンフィルが演奏する交響曲を50枚のCDに収めたすこぶる聴きごたえのある選集です。 指揮者はバーンスタイン、ベーム、クライバー、カラヤン、アバド、ジュリーニなどですが、ここではジェームズ・レ…

りびえらさん~「これでも詩かよ」第68番

ある晴れた日に第207回 りびえらさんは、枚方の菊人形の会場に幽閉されてしまいました。 りびえらさんに同情した女の子が面会にやってきましたが、許してもらえませんので、仕方なく門の外で、りびえらさんのお母さんとたちつくしておりました。 「お母さ…

倶会一処~「これでも詩かよ」第66番

ある晴れた日に第206回 霊園でカラスが鳴いたとき、小太郎祖父の声が聴こえた。 「フム、やっぱりたいしたもんにはならんかったのお。言うたとおりじゃ」 父精三郎の声も聴こえた。 「みんな元気にやっとるかのお。健ちゃんも頑張っとるかいな?」 母愛子…