蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

倶会一処~「これでも詩かよ」第66番

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ある晴れた日に第206回

 

霊園でカラスが鳴いたとき、小太郎祖父の声が聴こえた。

「フム、やっぱりたいしたもんにはならんかったのお。言うたとおりじゃ」

 

父精三郎の声も聴こえた。

「みんな元気にやっとるかのお。健ちゃんも頑張っとるかいな?」

 

母愛子の声も聴こえた。

「元気しとってか? 耕ちゃんは元気?」

 

大澤茂おじがにこやかに笑いながらバリトンで問いかけた。

「けっきょく英文学はやらなかったんだね」

 

根岸の伯母さんからも一言あった。

「あんたやっぱり死んだらゼロだと考えているの?」

 

私が霊園の曇天の空を見上げると、祖父と父母とおじと伯母の顔があった。

私に向かって、みんなみんな優しく微笑んでいた。

 

 

なにゆえに集団自衛権を容認すそは憲法擁護義務を定めた99条違反なるを 蝶人