蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

西暦2015年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に 第331回 コンビニに三浦西瓜がわんさか並び湘南の地に盛夏来たれり 吾輩は今日もはよから熱帯の和風リゾートに滞在ちう 由比ヶ浜にジュリア・ロバーツ似の魚が三匹泳いでいました 鎌倉の由比ヶ浜沖でこんにちは赤きイルカに乗りし少女よ …

八月の歌~「これでも詩かよ」第156番

ある晴れた日に 第330回 いやさか、いやさか 葉月になれば、 ものみなすべてが、帰ってくる。 みんな、みんな、帰ってくる。 朝から高らかに鳴き誇るのは、クマゼミ、ミンミン、アブラゼミ 負けじと声を合わせるのは、ニイニイ、ヒグラシ、ツクツクボウシ…

夏休み大人の子供向け冒険映画ずら

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.886,887 ○リドリー・スコット監督の「ロビンフッド」をみて リドリー・スコットはこうした規模壮大な歴史劇を好むが、「グラディエーター」が大成功したので2匹目のドジョウを狙ったのだろうか。本作でも同じラッセル…

シドニー・ポラックの2本ずら

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.884、885 ○シドニー・ポラック監督の「大いなる勇気」をみて 1850年代のアメリカで街場暮らしに愛想をつかして山の中で一生を送った元南軍兵士の物語をロバート・レッドフォードが演じているが、私はそんな不便な…

2本の時代劇ずら

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.882,883 ○滝田洋二郎監督の「壬生義士伝」をみて 官軍が火砲を乱発している最前線に抜刀した主人公が突撃していけば即死するに違いないのに、それが生き延びて親友が留守居役を務めている南部藩邸に逃げ込んだら腹を切…

カール・シューリヒトのベートーヴェン交響曲全集、ブルックナーの3,8,9番を聴いて

音楽千夜一夜第346 回 今は亡きEMIレーベルから出された巨匠カール・シューリヒトの定評ある銘盤ずら。 巴里のコンセルヴァトワール管弦楽団を率いて1957、8年にサル・ワグラムで録音されたベートーヴェンは時代が古いせいもあってよくいえば典雅、…

夢は第2の人生である 第27回 

西暦2015年如月蝶人酔生夢死幾百夜 「をが句愛もラテジナび詩ごで安画ずづレナベデグアジも短匹ら、具女駄ぺ土地うぞ殿鴈てれぴとだんき独輪階じ上舌で、聴わ人選鬱欒きららぺち雲虫郎舎が電畜以欄たですうぬ。だち、あり典膣、具みざて」2/1 (承前)私…

アルゲリッチ、クレメル、マイスキーthe complete duo recordingsを聴いて

音楽千夜一夜第345 回 独グラモフォンによる3人の二重奏や三重奏曲を集めた13枚組のCDを聞きました。 集められているのはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの全曲を柱に、バッハのチェロソナタ、シューマンバルトーク、メシアン、プロコィエフの…

生きるよろこび~「これでも詩かよ」第154番

ある晴れた日に 第329回 日曜日 イタドリの葉っぱの上で、ゴマダラカミキリが交尾している。 こっちでも、もう一組が夢中で交尾している。 するとそこへ、もう一匹がブーンと飛んできた。 「僕も混ぜてくれよ」 月曜日 朝夷奈峠を登っていたら、 まだ学習…

ピエール・トレトン監督の「イヴ・サンローラン」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.882&ふぁっちょん幻論第95回 2008年に亡くなった偉大なクリエーターの生涯を辿る伝記映画ずら。40年に及ぶ公私にわたるパートナー、ピエール・ヴェルジュ自らが出演して貴重な証言をしているのでこの偉大なク…

ブライアン・デ・パルマは怪しい奴

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.880,881 ○ブライアン・デ・パルマ監督の「愛のメモリー」をみて 松崎しげるじゃあるまいし原題の「Obsession」を「愛のメモリー」とはこれいかに。ヒッチ大好きのデ・パルマがヒッチ御用達の音楽家バーナード・ハーマ…

井上ひさし著「井上ひさし短編中編小説集成第10巻」を読んで

照る日曇る日第807回 本巻の目玉は、なんというても忠臣蔵ならぬ「不忠臣蔵」でありましょう。 古来数多くの作家、戯曲家がこの主題を取り扱ってきたわけですが、著者の目の付けどころはまったく独創的なもので、そこから切りだされた19の短編も他の凡…

マイケル・チミノ監督の「サンダーボルト」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.879 世の中なんて、人世なんて、なんぼのもんじゃ。この映画には全編を通じて、まぎれもなく七〇年代のアナーキズムが流れている。 マイケル・チミノは、そんな時代精神とか空気感を、壮大な自然を背景に描くのが上手…

アラン・レネ監督の「風にそよぐ草」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.878 昨年91歳で亡くなった偉大な監督の最後から3番目の作品ずら。 よくあるといえばよくある大人の男女の恋が題材になっているのだが、それを扱う手つきがいかにも軽妙で、人世というものを、映画というものを楽し…

谷崎潤一郎著「谷崎潤一郎全集第1巻」を読んで

照る日曇る日第806回 わおお、本邦最高の作家の全集が右翼の読売新聞社に乗っ取られた哀れな中央公論新社から発売されましたぞえ。 私はすでに昭和41年に出た第6回目の全集を持っているのだが、やっぱせっかく最新版が出たんだから、これから死に土産…

5回目の由比ヶ浜

鎌倉ちょっと不思議な物語第351回&バガテル-そんな私のここだけの話op.211 湘南海岸にサメ30匹来襲の報で遊泳禁止になったはずだったのに鎌倉の3つの海水浴場は、昨日の午後3時15分に神奈川県警航空隊による上空からの調査の結果、「もはや危険は…

今年最後の海水浴かな

鎌倉ちょっと不思議な物語第350回&バガテル-そんな私のここだけの話op.210 きのう次男が帰って来たので、久しぶりに家族4人で4回目の由比ヶ浜行きとなりました。 今日は遠くの水平線もくっきりと見え、波も穏やかだったので、どんどん泳いで境界線の…

カバライキンの歌~「これでも詩かよ」第153番

ある晴れた日に 第328回 カバライキン カバライキン カバライキンが、暴れてる。 カバライキン カバライキン テレビや、ラジオで、騒いでる。 カバライキン カバライキン 朝から晩まで、うるさいぞ。 カバライキン カバライキン カバライキンとは、そも何…

3回目の由比ヶ浜行き

鎌倉ちょっと不思議な物語第349回&バガテル-そんな私のここだけの話op.209 2時半に出発。駐車場は満車だったが、入口のおじさんが手招きして入れてくれた。その直後に入場を封鎖してしまったので超ラッキーだった。 例年だとこの時期のこの時間で駐車…

池澤夏樹編「日本文学全集02」を読んで

照る日曇る日第805回 折口信夫訳の「口訳万葉集」、小池昌代訳の「百人一首」、丸谷才一自選の「新々百人一首」を収めているが、非常に読みでと価値がある一冊ずら。 最初のものは折口が弱冠29歳の折に、辞書も参考書もなしに朝の9時から夜の10時ま…

Evgeny Kissin  The Complete Concerto Recordingsを聴いて

音楽千夜一夜第344 回 優れた技巧と鋭い感性を兼ね備えたキーシンは、好きなピアニストだ。 昔から日本ではテクニック一辺倒の阿呆莫迦叩きピアノボーイというような評価だったが、私の中でそのキャッチフレーズにもろ該当するのは、ランランとかユジャ・…

PHILIPS Original Jackets Collection全55枚組CDを聴いて

音楽千夜一夜第343 回 哀れDECCAレーベルに吸収され今は亡き蘭の名門PHILIPSレーベルの名盤を集めた55枚組CDを、やっとこさっとこ聴き終わったずら。 縦糸として通っているのはやはりハイティンク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団のブルックナー、その周…

ことし2回目の海水浴

鎌倉ちょっと不思議な物語第348回&バガテル-そんな私のここだけの話op.208 午後2時半、親子3人でことし2回目の由比ヶ浜行きです。 今日も暑いことは暑いですが、昨日までの気狂いじみた猛暑ほどではない。 既にお盆の帰省が始まっているのか、お金持…

Les Petits Riens ~三十五年はひと昔

蝶人五風十雨録第4回「七月三十日」の巻~バガテル-そんな私のここだけの話op.207 1981年7月30日 木曜 はじめて油蝉鳴くを聞く。今年は珍しく遅し。されどニイニイは盛況。ミンミンは既に鳴いている。 1982年7月30日 金曜 スポーツ物にworkou…

残念~「これでも詩かよ」第152番

ある晴れた日に 第327回 「なでしこジャパン」は、残念だった。 ウィンブルドンの錦織も、残念だった。 青木も、イチローも、松坂も、残念だった。 残念、残念、残念だった。 新幹線自殺は、残念だった。 岩手の中学生自殺は、残念だった。 「元少年A」…

アレハンドロ・アメナーバル監督の「アレクサンドリア」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.877 紀元4世紀頃、遅れてエジプトにやってきたキリスト教徒の反知性的、反文明的な無知と残虐さにスポットライトを当てた珍しい映画です。 ヒロインは古代社会の七不思議として全世界に君臨したアレクサンドリア図書…

新編日本古典集成新装版「萬葉集二」を読んで

照る日曇る日第804回 編者の青木生子氏によれば万葉前期(白鳳萬葉)は1)舒明・天智の柿本人麻呂以前と2)天武・元明の人麻呂の時代の二期に分かたれ、天平の万葉後期は1)山部赤人、山上憶良・大伴旅人の時代(元明初期から聖武中期)、そして2)淳仁初…

新編日本古典集成新装版木藤才蔵校注「徒然草」を読んで

照る日曇る日第803回 久しぶりに兼好法師の「徒然草」を最新版の解説と注釈で読んでみましたらば、これが最新版の芥川賞作家の傑作なんかよりも遥かに面白くて、それは、こちとらが歳をとったせいもあるけれど、やはりそれだけではない、中身の問題である…

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第25回

西暦2015年文月蝶人狂言畸語輯&バガテル-そんな私のここだけの話op.206 毎日3千億個の細胞を改廃しているうちに、私は別人28号になっていった。 例えば赤い林檎を見て「この林檎は赤い」といった場合、自然人は純粋にそれだけを意味しているに対し…

初めての海水浴

バガテル-そんな私のここだけの話op.205&鎌倉ちょっと不思議な物語第347回 遅まきながら今年初めて由比ヶ浜の海水浴場に出かけました。 例年ですともう何回もここで泳いでいるはずですが、8月になったのは先月末にうちの長男が帯状疱疹に罹ったから。 …