蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「続々なにゆえに」~西暦2014年如月蝶人花鳥風月狂歌三昧

ある晴れた日に第203回 なにゆえにことしはこんなに雪が降る 溶けて流れて水になるため なにゆえにこんなにあっさり開通したの町内総出で雪掻きしたから なにゆえに200席の旅客機をチャーターするのかたった2人とプードル乗せて なにゆえに鳥のねぐら…

かもしれない~「これでも詩かよ」第64番

ある晴れた日に第202回 横浜の栄プールへ行って、平泳ぎで25メートルをやっとこさっとこ9往復した。 合計で450メートル。 区切り良く10往復しようと思ったが、心臓がゴホゴホわめいて駄目だった。 これがいまの私の限界。いまの私の肉体の限界。 生…

夢は第2の人生である 第7回

西暦2013年文月蝶人酔生夢死幾百夜 220)ある村に住んでいたフランス人が、さる老人の死に際して不適切な発言をしたというので言挙げされ、酷い村八分に遭っていた。村人は彼の謝罪と訂正を我慢強く待っていたが、彼はけっしてその発言を取り消そうとは…

ぜんぶ雪のせいだ。~「これでも詩かよ」第67番

ある晴れた日に第205回 なにゆえに突如大好きな「刑事コロンボ」のテレビが消えてしまうの? ぜんぶ雪のせいだ。 なにゆえにうちの耕君はカラオケに行けなかったの? ぜんぶ雪のせいだ。 なにゆえにJR北海道は事故ばかり起こすの? ぜんぶ雪のせいだ。 …

2001年~2014年のファッション・トレンドを振り返る その4

ふぁっちょん幻論 第84回 06秋冬ミラノ・メンズ=英国伝統再現。ジル・サンダー、プリングル、D&Gなどシックなテーラードへ。アレクサンダー・マックイーン、ミューミュー、初登場のミハラヤスヒロ。 06秋冬パリ・メンズ=ミラノに続いてチエック広がる…

アリス・マンロー著小竹由美子訳「ディア・ライフ」を読んで

照る日曇る日第657回 全部で14の短編を並べた本年度ノーベル賞作家の、最新にして、もしかすると最後になるかも知れない小説集です。 私の亡くなった母や私の傍にいる妻君、あるいは昔の橋本治選手や田舎の女性たちは、よく手編みのセーターや帽子や手…

ジョン・タートルトーブ監督の「クール・ランニング」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.625 カルガリ冬季五輪に出場したジャマイカのアホ莫迦突撃ボブスレー5人組の涙と笑いの奮闘記ですが、この信じられないお話は実話ときいてびっくり。ラストのゴールインには感動のあまり涙がちょちょぎれました。 …

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第4回

西暦2013年神無月蝶人狂言畸語輯 1匹の動物として生まれ、1匹の動物として死んでいく。それでよいではないか。10/31 この国で生きていると、だんだん息苦しくなってくる。10/30 仏教の「変成女子」が大本教の「変性女子」になり、それが女男になり肉食…

夢は第2の人生である 第6回

西暦2013年水無月蝶人酔生夢死幾百夜 193)私は女性の勝気な部下のパワハラにあってろくろく自分が出せず、仕事が出来ないでいたのだが、幸い彼女が別のセクションの課長に抜擢されたのでようやく安堵することが出来たのだった。6/1 194)肝心の商品はろ…

「ジュリアード弦楽四重奏団のシューベルト&ブラームス5枚組」を聴いて

音楽千夜一夜第324回 シューベルトの弦楽四重奏曲第12番から15番、ブラームスの弦楽四重奏と5重奏曲の全曲、それにクラリネット5重奏曲をジュリアード弦楽四重奏団が演奏しています。 2つの弦楽5重奏曲の第2ヴィオラをワルター・トランプラーが弾…

ジョナサン・デイトン& バレリー・ファリス監督の「リトル・ミス・サンシャイン」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.624 妙ちきりんな家族を乗せたロードツアー・ムービーなり。 おんぼろフォルクスワーゲンが、高速道路の境界をぶち破ってカリフォルニアの美少女コンテスト会場に乱入するシーンは、むかしどこかで見たことがあるが…

「丸谷才一全集第5巻」を読んで

照る日曇る日第656回 長編「女ざかり」を中心に「鈍感な青年」「夢を買います」「墨色の月」「おしゃべりな幽霊」「今は何時ですか?」の中短編小説を集めたすこぶる読み応えのある集成です。 この作家の特色はわが国伝統の私小説に断固として背中を向け…

アリス・マンロー著「イラクサ」を読んで~「これでも詩かよ」第65番

ある晴れた日に第203回&照る日曇る日第655回 耳をつんざく雷鳴。そして車軸を押し流すような豪雨が、 にわかに私たちだけの秘かな場所を用意する。 イラクサの鋭い穂先で、何度も何度も刺された私の太腿は、 あれからずいぶん歳月が流れたいまでも、…

ミエコ・ヴィクストロム著「南仏カンヌの食卓」を読んで

照る日曇る日第654回&ふぁっちょん幻論 第83回 &鎌倉ちょっと不思議な物語第310回 ミエコ・ヴィクストロム(高島三枝子)さんは1939年鎌倉生まれで、S.O.Sモデルクラブの女性モデル第1号。「婦人画報」でモデルデビューして活躍していたが…

クリント・イーストウッド主演・監督の「許されざる者」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.623 「あんたのナニは小さい」と言って嘲笑うような娼婦はとうていプロとはいえない。 それを怒った牧童がナイフで彼女の顔を切ったのは、てんで「許されない」ことだが、それを怨んで殺し屋をやとう女たちの気持ち…

朝夷奈峠の歌~「これでも詩かよ」第63番

ある晴れた日に 第201回 今日も太刀洗へ散歩に行きました。 朝夷奈峠の三郎の滝を目指して進んでいくと、道の真ん中に茶色いヤマカガシの子蛇がぺっしゃんこになって死んでいました。 「おい、ヤマカガシ、どうして死んじゃったんだ?」と尋ねますと、 「…

もてなし~「これでも詩かよ」第62番

ある晴れた日に第200回 もてなしとは、たとえば交通事故を起こしたご主人のことで一瞬にして髪の毛と顔面が蒼白となり、夫の代わりに自分が死んで相手にお詫びしようとまで思いつめている女性の背中をさすりながら、「大丈夫、大丈夫」と力づけてあげるこ…

2001年~2014年のファッション・トレンドを振り返る その3

ふぁっちょん幻論 第82回 05秋冬ミラノメンズは04/1開催。トム・フォードの最後のグッチ。カントリーと上質なテーラード。ジル・サンダーの復帰。 05秋冬パリ・メンズコレはジョン・ガリアーノ、日本から初のナンバーナイン。シックで大人っぽいテーラード…

岡井隆著「ヘイ龍カム・ヒアといふ声がする」を読みて詠える

照る日曇る日第653回 &ある晴れた日に第199回 八十を超えたスーパー老人が性の睦みのあとさき嘯く 愛恋の別れは遠く去りにけり八十翁の恐るべき欲情 子規を超え杢太郎鷗外と並び立ちギョエテディドロオに迫らむとす君が気宇こそ壮大 子規の絵を俳句短…

夢は第2の人生である 第5回

西暦2013年皐月蝶人蝶人酔生夢死幾百夜 147)集英社の編集者に採用された私は辣腕のヴェテランスタッフたちから軽侮されながら仕事を続けていたが、とうとう編集をクビになって書籍の荷造り係りに降格されてしまったが、なにくそ啄木だって朝日新聞の校…

エイドリアン・ライン監督の「フラッシュダンス」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.622 ジョルジオ・モロダーの音楽に合わせてジェニファー・ビールスが踊る、いかにも懐かしき80年代な映画なり。 「ナインハーフ」もそうだったが、このエイドリアン・ラインという監督は、CM演出上がりの監督な…

アダム・シャンクマン監督の「ヘアスプレー」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.621 ジョン・ウオーター監督の同名作を元にしたブロードウエイのミュージカルをまたもや映画化したという2007年製作の作品です。 黒人や異民族、それにブタブタ人間などへの差別撤廃がテーマとなっていますが、…

ジョー・ライト監督の「プライドと偏見」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.620 高慢と偏見は、ふたつながらに私たちが陥りがちな悪徳で、それは知性と教養が高い人間ほど陥りやすい幣害かもしれない。 ジェーン・オースティンはいにしえのとつくにの女流作家で、世間ではつまらない家庭小説…

丸山健二著「白鯨物語」を読んで

照る日曇る日第652回 ハーマン・メルヴィルの大著を、著者が自由自在に超訳リライトしたもの。太平洋狭しと暴れ回るかのモビー・デイックとエイハブ船長の骨肉の戦いに要点を絞ってクイクイと読み終えたいなら、文庫本で3冊にも及ぶあの鯨という主題によ…

すべての言葉は通り過ぎてゆく 第3回

西暦2013年長月蝶人狂言畸語輯 男子の生きる力の根源は、それぞれの男根の生命力そのものにある、と考えてはいけないだろうか?9/30 「国民皆保険」すら法律に出来ず、観光名所も閉鎖し、「銃規制」も出来ないくせに腹が立つとすぐに外国に戦争を仕掛け…

夢は第2の人生である 第4回

西暦2013年卯月蝶人酔生夢死幾百夜 112)私は岡井隆ゼミに出ている学生なのだが、前回は風邪で欠席したので今日の内容が全然わからない。先生がもう一人の女子学生に動詞の活用や終止形について親切に教えている姿を、私は妬ましく見詰めていた。 113)…