蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

岡井隆著「ヘイ龍カム・ヒアといふ声がする」を読みて詠える

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照る日曇る日第653回 ある晴れた日に第199回

 

 

八十を超えたスーパー老人が性の睦みのあとさき嘯く

 

愛恋の別れは遠く去りにけり八十翁の恐るべき欲情

 

子規を超え杢太郎鷗外と並び立ちギョエテディドロオに迫らむとす君が気宇こそ壮大

 

子規の絵を俳句短歌と並べ見る岡井隆の眼の鋭さよ

 

小人はやはり巨人には敵わぬがその巨人も恵里子さんには敵わぬ

 

神々は今宵静かにたそがれて巨人族の末裔星空に消ゆ

 

老人は突如少年に様変わり青鷺を故郷の川で追っている

 

歌人をさんざん叩きし吉本の「連作詩篇」の下手くそなこと

 

文芸の進歩はありやなしや個体発生は系統発生を繰り返せども

 

なにゆえに原発はむしろ被害者と弁護する原発あらばこそ数多の人死あるものを

 

狭き国に糞づまりたる原発を海に捨てるや山に捨てるや

 

なにゆえにこの国の核武装を支持するや核あるがゆえに敵増ゆるものを

 

なにゆえに王に額づき帽を脱ぐあらゆる帽は捨つべきものを

 

五七五より出でて漸く近づきぬ前人未到テエベス百門の大都 

 

 

なにゆえに君は歌をうたうのか聖なる女神に捧げるため 蝶人