蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2008年亡羊弥生詩歌集

♪ある晴れた日に その24 ももんがあ高きより降下して我の目の前で前で身くねらすなり ―夢の中にて懇々とわれは少女を諭したり何故に鴨に石を投ずるは不可なるかとなにゆえに鴨への投石は不可なるか情理を尽くして少女に説きたり出棺に思わず拍手が沸いたとい…

桜咲く今朝の女の薄化粧

ふあっちょん幻論第17回 20世紀の10大トレンドその9「化粧/ファッションドボディ」「全身化粧」の時代 20世紀は「服を脱ぐ」時代→身体自体への直接装飾加工 その端緒は1916年 英ヴォーグ誌 21年 仏ヴォーグ誌に見られる。ここでは 服をおいてけぼり…

ブラは春風に乗って

ふあっちょん幻論第16回 20世紀の10大トレンドその8「ブラジャー/下着革命」18世紀末 テルミドールの反乱の後「ギリシャ風」がテーマとなり薄絹、モスリンの肌着が流行。 19世紀末トレンドとしての薄着、下着ファッシヨン。 20世紀初頭の1906年にポー…

♪平成東京革命音頭

♪バガテルop53輝かしいフランス文化を侮辱し、女性や老人やアジアの隣国を軽蔑し、中共もとえ中国に餓鬼大将のように張り合って五輪誘致に狂奔し、あまつさえ既存マラソン大会をつぶして己の大会に塗り替えて悦に入り、唯一の取り柄といえばかつてその身内に…

イヴ・サンローランの「シティパンツ」あるいは越境するジェンダー

ふあっちょん幻論第15回 20世紀の10大トレンドその7「シティパンツ」 1851年 米女性解放運動家、ブルーマー夫人のブルーマー登場、19世紀末のサイクリングウェアに。その頃サンローランはディオール店に入り、その後独立し反体制クリエーターとなる。…

「世界服」としてのジーンズ

ふあっちょん幻論第14回 20世紀の10大トレンドその6「ジーンズ」ジーンズは19世紀の半ば アメリカの田舎で金鉱採掘用作業服として誕生した。1853年 ババリアからの移民リーバイ・ストラウスが、作業用パンツを丈夫な帆布用の綾織布で作った。当時イ…

五味文彦・本郷和人編「吾妻鏡2」平氏滅亡を読んで

照る日曇る日第107回「吾妻鏡」は源家の末裔を滅亡させた北条政権によって編集された史書であり、その記述を鵜呑みにはできないが、ゆっくり読んでいくといろいろな発見があり、さまざまな思いにとらわれる。例えば頼朝は、思いのほか大胆な経略家にして緻密…

春風とミニ 20世紀の10大トレンドその5「ミニ/ボディコンシャス

ふあっちょん幻論第13回1950年代 サントロペのリゾートでカジュアルウエアブーム。戦後のベビーブーマー時代が主導する大量生産・大衆消費時代がはじまる。1960年代 ロンドンのマリー・クワント、パリのアンドレ・クレージュが全世界にBODY CONCIOUS…

母六回忌

天ざかる鄙の里にて侘びし人 八十路を過ぎてひとり逝きたり 日曜は聖なる神をほめ誉えん 母は高音我等は低音 教会の日曜の朝の奏楽の 前奏無(な)みして歌い給えり 陽炎のひかりあまねき洗面台 声を殺さず泣かれし朝あり 千両万両億両すべて植木に咲かせしが …

春風スタディ 20世紀の10大トレンドその4「化学繊維/テクノロジ

ふあっちょん幻論第12回 1935年 ナイロン 人類初の化学繊維 米デュポン社のW・カロザース発明。石炭、水、空気で作る合成繊維 「くもの糸より細く優美で鉄鋼より強い」→パラシュート用を民生に転用 1940年 ストッキング大流行 60年代 宇宙開発と宇…

ふあっちょん幻論第10回

春のにわか勉強 20世紀の10大トレンドその3第3トレンド クリスチャン・ディオールの「ニュールック」/エレガンスの再構築 19世紀頃からファッション界には身体快適機能性への大反動が起こった。せっかくそれまで人間の身体の機能性に優しく対応してきた…

歌人たちの鎌倉

鎌倉ちょっと不思議な物語107回春、いまにも降り出しそうな曇天の午後、愛する妻と共に鎌倉文学館へ行きて「歌人たちの鎌倉」展を見る。万葉の時代から、明治、大正、昭和、平成に至る鎌倉ゆかりの歌人たちとその短歌を特集した例によって小ぶりの好ましい展…

網野善彦著作集第1巻「中世荘園の様相」を読む

照る日曇る日第106回岩波から刊行されているこのシリーズであるが、早くもこれで通算7冊目となった。いまNHKで放送されている朝ドラ「ちりとてちん」は小浜市が舞台だが、その小浜の小さな部落にスポットライトを当て、東寺領若狭国太良荘(たらのしょう)…

春の復習 20世紀の10大トレンドその2

ふあっちょん幻論第10回第2トレンド マドレーヌ・ヴィオネのバイアス・カット=服の再構成とその日本における後継者 1917−39年まで活躍したマドレーヌ・ヴィオネは、立体裁断(ドレーピング)によるバイアス・カットやサーキュラーカットなどの革新的…

春の復習 20世紀の10大トレンドその1

ふあっちょん幻論第9回18世紀の産業革命以降の機械文明は豊かな中産階級を生みだす社会変革をもたらした。 20世紀はじめの時代は「ベルエポック」だが、1910年にコルセットを追放したポール・ポワレの登場でゆったりしたシルエットが女性の体を解放…

帰ってきたカエルたち

♪バガテルop52&鎌倉ちょっと不思議な物語106回1ヶ月以上にわたって続いていた朝比奈峠の工事がいちおう終わってふたたび自由に往来できるようになった。危険な倒木を未然に防いだり、歩行者が歩きやすくするということで一部の箇所に橋を掛けたり、補強した…

この家を見よ! 「FUJIMORI藤森照信建築」を読む

照る日曇る日第105回&勝手に建築観光29回藤森照信はいま私が最も興味を懐き、共感をもってみつめている建築家の一人である。20世紀建築の4人の巨匠はグロピウス、ル・コルビュジエ、ライト、ミースであるが、藤森が原廣司と共に高く評価するのはミースであ…

日輪寺再説

鎌倉ちょっと不思議な物語105回&鎌倉廃寺巡礼その4 先日「タタラケ谷」との関連で報告した日輪寺だが、その後「鎌倉廃寺事典」をつらつら眺めていたら、この寺は北条高時の寺号であると記してあった。高時は北条氏の第14代最後の執権でいまの宝戒寺の御所で…

中世の鎌倉

鎌倉ちょっと不思議な物語101回 古代日本の律令国家では大和朝廷が権力を握り、國-郡-郷という行政単位を置き、国史を頂点としてその責務に当たらせました。8世紀以来存続してきた国府政庁は10世紀には廃絶してしまいますが、一方国司の館はその政庁機能を受…

バルガス・リョサ著「楽園への道」を読む

照る日曇る日第104回「楽園への道」といえば私にとってはエルガーの名曲だが、ペルーの作家バルガス・リョサの同名の交響的長編小説も、英国の音楽家と同じような感動を私に与えてくれた。 本書は二つの物語が交互に奏される対位法叙述形式をとっていて、最…

月輪寺を求めて

鎌倉ちょっと不思議な物語104回&鎌倉廃寺巡礼その3 月輪寺は「がちりんじ」とひらがな表記して「がつりんじ」と発音する。「鎌倉志」に「光触寺の北、霧沢のうちに好見というにあり。ゆえに好見の月輪寺という」とあるが好見がどこであるか不明である。し…

幻の廃寺、日輪寺ここに在り

鎌倉ちょっと不思議な物語103回 「十二所地誌」によれば日輪寺跡はタタラが谷に所在、とある。タタラが谷については私が去年の夏に発見して確かこの日記にも報告した地点だから我が家から3分だ。よしあの近くを探そう。ここでちょっと復習すると、「タタラ…

鎌倉廃寺巡礼

鎌倉ちょっと不思議な物語102回 鎌倉は寺も多いが、廃寺も多い。多くの人々は地上にそびえる美麗な寺社仏閣を仰ぎ見て嘆声を発するが、私が関心を持っているのはかつては大いに栄え、今はもはやこの世にない死せる寺々である。現存しない寺院、堂宇、塔頭は…

平川南著「日本の原像」を読む その2

照る日曇る日第104回&ふあっちょん幻論第8回座敷神と道祖神のはじまり 丑寅を鬼門とする思想は中国から輸入されたが、柳田國男はそれ以前に日本では東北よりも戌亥(西北)を恐れる信仰が存在したと強調している。平安時代の貴族の邸宅では戌亥の隅に屋敷神…

平川南著「日本の原像」を読む その1

照る日曇る日第103回天皇と日本のはじまり 倭国王が東アジア世界に秩序づけられた「王」「大王」に代わり独立した最高位の称号をのぞみ、道教思想において宇宙の最高神を示す「天皇」という名称を日本国王として用いた。そしてこの天皇は則天武后時代では明…

自閉症の人のヘルプポイント

♪バガテルop51では自閉症の人に手助けするには具体的にどうすればいいのでしょうか。 自閉症の人に手助けするには次のようにしましょう。手助けその1 コミュニケーションのやり方は? 自閉症の人は話だけを聞いてその内容を理解することが苦手ですが、目で見…

どうすれば自閉症の人をヘルプできるんだろう?

♪バガテルop50自閉症の特徴は幼稚園や小学校などの集団に入ると目立つことが多いようです。言われたことが理解できない。思ったことが伝えられない。その場で何をしたらいいのかが分からない、などが原因でストレスがたまってパニックになり、ときには自分で…

知的障碍と自閉症の違いは?

♪バガテルop49先日私の大嫌いな「阿呆の泉」という番組で、私がとても軽蔑している着物姿のいかがわしい男が、「障碍は個性」という最近巷にあふれかえっている陳腐な発言をしていました。 確かに自閉症を含めて障碍者にはさまざまな障碍があり、その姿かた…

自閉症大研究 第6回

♪バガテルop48よく知的障碍という言葉を耳にします。てっきり「痴的障碍」と思っていたのに、なんだその言葉のインテリジェントな響きは。この障碍はとても知的でおしゃれでシックなレナウン娘のことかと思っていたのですが、さにあらず、知的な遅れを伴う障…

自閉症大研究 第5回

♪バガテルop47前にご紹介した三大特徴だけが自閉症ではありません。それ以外にも1) 目で見たものを写真で撮ったように正確に覚えたり、駅の名前をたちどころに覚えたりするケースもあります。また、2) 自閉症児者は感覚がとくに鋭かったり、その逆ににぶか…