蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

国立劇場で「菅原伝授手習鑑」「處女翫浮名横櫛」をみて

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茫洋物見遊山記第147回 

 

竹田出雲作の「菅原伝授手習鑑」では車引、黙阿弥・松浴・千柳作の「處女翫浮名横櫛」では「切られお富」をダイジェストで公演していましたが、私は幸いその千秋楽を鑑賞することができました。

 

「菅原伝授手習鑑」では桜王丸を中村萬太郎、梅王丸を中村隼人、松王丸を中村錦之助がつとめていましたが、桜王丸の萬太郎はセリフが弱弱しく一人前の役者としてはまだ非力を感じるのでさらに勉強に励んで頂きたいと思います。

 

「處女翫浮名横櫛」(むすめごよみうきなのよこぐし)では、全身をナマスのごとく切り刻まれるのが「浮名横櫛」における与三郎ではなくお富であり、たおやかな女役の彼女が復讐の鬼に一転して、かつての主であった赤間源左衛門をねちねちいびって二百両を奪い、それを横取りしようとした相棒のこうもり安を派手な立ち回りの末にあやめてしまう悪婆ぶりが見どころで、中村時蔵が好演していました。

 

 

なにゆえに夜の室内でもサングラスなの別に眼が悪いわけでもないのに 蝶人